◆am/upXHX12 



お嬢様がさらわれた? 
刹那は耳を疑った。この麻帆良学園には二重、三重の結界が施してあり、そんな狼藉を働く不埒者が侵入 
できるはずがない。なにより、このかには刹那自身をはじめとした優秀なクラスメートたちが複数、護衛と 
して目を光らせているはずなのだ。だが、息を切らせて走ってきて、この話を伝えに来た明日菜は、とても 
嘘を言っているようには見えなかった。 
「本当ですか、明日菜さん?」 
それでもつい、尋ね返してしまう。明日菜はそれに気を悪くすることもなく、うなずくと刹那の手を引い 
て走りだした。 
「こっち、今ならまだ間に合うかも」 
刹那は混乱したまま、明日菜に引かれて行く。まだ近くにいるのか? ならばとにかく、急がないと。 
やがて二人は、森の奥にある洞窟の前に辿り着いた。 
「この中に入っていったわ。さあ刹那さん、早く」 
「は、はい」 
明日菜の態度にやや不審なものを感じつつも、このかの危機ならばためらうわけにもいかない。刹那は 
意を決して、洞窟の中へと入っていった。 
洞窟の中は真っ暗であった。刹那は念をこめて一言つぶやく。指先に、小さな火が灯った。炎に照らされ 
た洞窟は、自然のものらしくほとんど人の手の入った様子はない。だが、足元には何人分かの足跡がみら 
れた。誰かが入っていったのは確からしい。刹那は慎重に、歩を進める。 
しばらく進んだところで、刹那は床に転がる人影を発見した。 
「お嬢様!」 
刹那は周囲を警戒しながらこのかに近づく。縛られているものの、怪我もなく意識もあるようだ。 
「せっちゃん、助けに来てくれたんやね」 
「お嬢様、ご無事ですか! 今、縄をほどきます」 
刹那がこのかの縄を解くと、このかは起き上がり刹那に飛び付いた。柔らかい感触に刹那が戸惑う。 
「せっちゃん!」 
「お、お嬢様! その、まだ危険が。そ、そうです、誘拐犯はどこに?」 
「誘拐犯? それはやねぇ……」 
「……え?」 

刹那の背中に衝撃が走った。熱く、痺れたような感触。何が起こったのかわからず、刹那は首だけで振り 
返った。背中に、短刀が突き刺さっている。その刀を握っている手は……。 
「この……ちゃん?」 
そんな馬鹿な。呆然としてこのかを見る。いつもと変わらない笑顔。 
「ごめんな、せっちゃん」 
このかが短刀を引き抜くと、鮮血が吹き出した。たちまち制服が真っ赤に染まり、床に血溜りができる。 
刹那は血でぬめった床に足を取られ、転倒した。 
「あうっ」 
相変わらずのにこやかな笑顔で、このかは刹那を見下ろしている。 
「な……んで……」 
「ウチな、もう、せっちゃんのこと、いらんようになったんよ」 
「そん……な……」 
「うまく行ったみたいね、このか」 
「明日菜! ほら、せっちゃん。ウチにはもう、明日菜がおるんよ。だから、せっちゃんとはお別れや」 
刹那は弱くかぶりを振った。信じられない。このかに向かって手を伸ばす。途中で落ちた。力が入らない。 
急速に体中の熱が失われていく。視界がぼやけ、このかの顔が見えなくなっていく―― 
「明日菜、そろそろ止めを刺してやって」 
「うん」 
明日菜は気軽な声で返事をすると、呪文を唱えた。その手に身長より巨大な長剣が現れる。首筋に狙いを 
つけ、大きく振りかぶって、 
「この……ちゃ……」 
嘘だ。何かの間違いだ。そうだよね、このちゃん。ねえ、何とか言ってよ、このちゃ―― 
振り下ろした。刹那の意識が永遠に断ち切られた。胴と離れて転がる首は、かっと目を見開いていた。 
「この首、記念にもろとくわ」 
「えーっ? 趣味悪いよ、このか。だいたい生ものなんだから、すぐに臭くなるわよ、そんなもの」 
「ええやん、腐ったらそんときや」 
このかは刹那の首を拾うと、ぬいぐるみみたく愛おしそうに抱きかかえた。それを見て、明日菜はため息 
をつく。 
「仕方ないわね。でも部屋には置かないでよ」 
「わかっとるって」 
そして二人は洞窟を立ち去る。 
「まずは一人……」 
 このかは緊張感が足りない。まずは強敵の刹那をうまく仕留めたものの、まだ殺さねばならない者は何人 
もいるのだ。うかうかとはしていられない。このかに注意を促して、私も気を引き締めてかからねば。 
 さあ、次の標的だ。明日菜は決意も新たに、剣の柄を握りなおした。 


「明日菜っ、明日菜が!」 
「とにかく、今は逃げないと」 
佐々木まき絵、和泉亜子、明石裕奈、大河内アキラの四人は走っていた。クラスメートの神楽坂明日菜が、 
血のついた大剣を持って誰かと口論しているところを廊下で目撃したのはついさっきのことだ。ただならぬ 
様子に思わず隠れた四人は、さらに恐ろしい光景を見てしまった。明日菜に対峙していた少女が、後ろを向 
いて逃げ出そうとしたところ、明日菜が一足飛びに間合いをつめて袈裟斬りにしたのだ。血のシャワーが廊 
下を真っ赤に染める。断末魔の悲鳴。聞き覚えのあるあの声は、クラスメートの春日美空ではなかったか? 
四人が恐怖に凍り付き、その場を離れられないでいると、ゆっくりと明日菜が振り返った。まっすぐ、こっ 
ちを見ている。目が合った。気付いている! 四人は悲鳴を上げ、脱兎のごとく駆け出した……。 
「亜子、大丈夫?」 
 走りながらまき絵が心配そうに尋ねる。亜子はさっきの光景にショックを受け、顔面蒼白で今にも倒れそ 
うだ。そう言うまき絵も、決して平気ではない。四人ともそうだ。あんな光景を見て、平然としていられる 
わけがなかった。 
「うん、ありがと、まき絵。……大丈夫やから」 
「みんな、とりあえず外に出よう」 
裕奈の提案に一同はうなずき、玄関を目指した。廊下を曲がり、階段を駆け下り、――玄関に着いた。 
「ちょっ、ちょっと待って、裕奈」 
裕奈が一番に外へ駆け出し、残りの三人が後を追おうとした、そのとき。 
パァン! 
乾いた破裂音が響き、裕奈がその場に倒れ伏した。「裕奈!」 
裕奈は悲鳴を上げ、倒れたまま脚を抱えている。見ると、脚からおびただしい血を流していた。三人は裕 
奈に駆け寄ろうとする。 
パァン! 
再び、破裂音が鳴った。三人のなかで一番最初に外へ出たまき絵が、裕奈のそばで倒れていた。やはり、 
脚から血を流している。爆音にすくんで立ち止まっていたアキラと亜子は、ようやく事態を理解した。 
外に出たら、撃たれる。 
あわてて二人は校舎の中へ舞い戻る。そして顔を見合わせると、やっと取り残された二人を思い出して 
振り返った。 
「まき絵! 裕奈!」 
「あ……亜子……、た、助け……」 
苦痛に呻きながら、絞りだすように助けを求める裕奈。一方、まき絵は懸命に袖口からリボンを取り出す 
と、それを校舎の柱へ投げようとした。しかし、動作が完了する直前、再び銃声が鳴り、血しぶきととも 
にまき絵の腕が跳ねた。 
「あうっ」 
続けてもう一度銃声が鳴り、もう一方のまき絵の腕も撃ち抜かれた。まき絵はぐったりとして動かなく 
なった。流れだした血が地面に染みを作っていく。 

「まき絵!」 
亜子が叫んだ。思わず飛び出して行こうとする亜子を、アキラがつかんで止めた。 
「だめだ、外は危ない」 
「でも、裕奈とまき絵が!」 
再び、今度は数発続けて銃声が鳴る。銃声に合わせて裕奈とまき絵の手足が踊った。 
「……!」 
亜子はアキラを振り切って、外へ飛び出した。 
「亜子!」 
亜子は裕奈とまき絵に近寄り、二人がまだ息をしているのを確かめ、ひとまず安堵した。まずは裕奈の腕 
をとり、肩に回して引きずって行こうとする。 
「あ……亜子……ありが……」 
その時、再び銃声が鳴った。 
亜子の体が横倒しになる。裕奈の眼前に倒れてきた亜子の顔は、右半分が無くなっていた。熱いものが 
顔にかかり、裕奈は一瞬呆然とする。 
「亜子!」 
「うっ……うわっ、うわあぁああぁぁあぁぁあっ!」 
アキラの叫びをきっかけに、裕奈はわめき始めた。パニックを起こし、手足の痛みも忘れのたうち回る。 
ただし、手足の骨を砕かれているので、その場で地虫のように身体をくねらすだけだ。その様子がまた痛々 
しくて、アキラは目を背けた。 
助けなきゃ。亜子、裕奈、まき絵の三人は大切な友達だ。少なくとも、裕奈とまき絵は生きている。放っ 
ておいたら、きっと殺される。助けられるのは、私だけ。 
でも。 
私に何ができる? 出ていっても、撃ち殺されるだけだ。亜子みたいに。 
亜子。殺された。頭を半分吹き飛ばされて。恐い。殺される。私も。殺サレル恐イコロすシぬ恐イ殺…… 
「アキラ……」 
その時、弱々しい声がアキラの耳に届いた。 
「……逃げ……て……」 
裕奈は、震えながら首を上げアキラを見ると、唇を引きつらせて笑ってみせた。 
「!……」 
やめて。そんな目で見ないで。私は、私は…… 
「うわあぁぁぁぁっ」 
アキラはふるふると首を振り、校舎の奥へ駆け出した。 
ごめん、裕奈。ごめん、まき絵。ごめん、亜子。私は臆病で最低の人間だ……! 

「……すまない。ターゲットを一人逃した。そちらで始末してくれ」 
龍宮は無線機に向かって告げると、再びライフルを構え狙いを付けた。 
「まさかあそこで逃げ出すとはな。とんだ友達思いだ。まあ、それが正しい判断だが……」 
龍宮は裕奈とまき絵の頭に一発ずつ、顔色も変えず正確に弾丸を撃ち込む。地面に二つの血の花が咲いた。 
龍宮はそれを無感動に眺め、ライフルを解体し片付けると、迅速に屋上を立ち去った……。 


「はあ、はあ……。くそっ」 
千雨は手近な扉に飛び込み、後ろ手に戸を閉めるとそのまま寄り掛かり、大きく息をついた。ゆっくりと 
呼吸を整える。パニックから回復するにつれて、思考停止状態だった脳が状況の整理を始めた。 
「ああああいつ、な、何なんだよ……?」 
脳裏に先ほどの惨劇がよみがえる。巨大な剣を振り回すクラスメート。首が宙を舞った。 
「マジかよ……あれは、アキラ……しし死んだ、ぜ絶対……ありえねぇ」 
何らかのトリックにはとても見えなかった。千雨の鼻腔には、生々しい血の匂いが今もこびりついている。 
「……夢? いやいやいやいや」 
千雨は首を振って否定した。夢のはずがない。こんなリアルな夢……、悪夢は見たことがない。夢だった 
ら、さっき転んだときにひねった足首が、こんなにズキズキと痛むわけがない。 
「つっ……!」 
気が弛んだ隙に、忘れていた痛みが戻ってきて千雨は立っていられなくなった。どさっと尻餅をつき、千 
雨は痛みに顔をしかめつつ足をさすった。 
「やれやれ……とにかく休まないと、こりゃ歩くのは無理だな」 
「へえ、そうなんだ」 
「!」 

千雨はあわてて正面を向く。そこには返り血で制服を赤黒く染めた、千雨のクラスメート――神楽坂明日 
菜が立っていた。凄惨な姿と不似合いに、普段と変わらない笑みを浮かべて。 
「わああああっ!」 
あわてて立ち上がり、痛みに足を滑らせて転び、したたかに額を打ち付けた。目眩にくらくらしながらも、 
手探りで引き戸の取っ手を捜し当て、力をこめ――開かない。 
そんな馬鹿な? 
あわてて両手をかけてがたがたと揺するが、扉は何かがつっかえているかのようにびくともしない。 
「どうや、うまく行っとるかー? 覚えたての魔法やー」 
「ナイスよ、このかー。このかも回っておいでー」 
扉の向こうから、のんびりとした声が聞こえてきた。魔法? いや、それよりもどこから入ってきた? 
出入口はここだけ、あとは窓だけ――んなバカな、ここは三階だぞ? いやいや、そんなことより――。 
「おまっ、お前、いったい」 
「私? 私は神楽坂明日菜よ、クラスメートの。あんたも知ってるでしょ」 
「そ、そうじゃねぇだろ! な、何で、アキラ……ここ殺し」 
「そんなこと聞いてどうするの? どうせ……」 
「ひっ!」 
明日菜が千雨にぐっと近寄り、顎に手をかけクイッと持ち上げた。 
「……ここで死ぬあんたには、関係ないことよ」 
明日菜は千雨の首を掴むと、ものすごい力で持ち上げた。息苦しさに千雨がもがくが、明日菜はびくとも 
しない。 
「ぐっ……がっ……!」 
千雨の目の前が真っ暗になり、意識が薄れる。その時、窓からこのかが入ってきた。 
「あーっ、待ってーな明日菜ー。そんなすぐに殺してしもたらもったいないやん」 
明日菜はこのかを振り返ると、ため息をついて千雨を下ろした。千雨が激しく咳き込む。 
「もう、このかったら。少しは真面目にやんなさいよ」 

このかはうずくまる千雨を嬉しそうに覗き込むと、 
「よかった、まだ生きとる」 
「まあね」 
「せっちゃんのときは全然遊べんかったからなぁ」 
「遊びじゃないのよ、このか」 
「つまらんなぁ、明日菜。ええやん、ちょっとくらい」 
「……まあ、千雨ちゃんなら反撃の心配はないか。わかったわよ、このか。ほどほどにね」 
「それでこそ明日菜や」 
短刀を片手に持ち、嬉しそうに歩み寄るこのかに本能的な恐怖を覚える千雨。 
「や、やめろ、近づくなっ」 
このかは短刀を千雨の胸元に当てると、少しずつ服を引き裂いた。刃先が肌に触れ、赤い雫が垂れる。 
「動かんといてな……怪我するで……」 
服が裂け、白い肌があらわになった。続いてブラジャーのカップの間に刃を引っ掛け、ひと思いに切る。 
ぷるん、と二つのふくらみが揺れた。このかは少し不機嫌そうに、 
「あー、やっぱりウチより大きいなー」 
「このかより小さいのなんてほとんどいないわよ」 
「明日菜、ひどい。あんまりやー」 
このかが手を顔に当てて泣き真似をすると、明日菜が軽く拳でこづいた。泣き真似を止め、ぺろっと舌を 
出すこのか。千雨はその様子をただ震えながら見つめているしかなかった。 
「ええなあ、千雨ちゃん。ウチも欲しいなぁ」 
このかが短刀で千雨の乳房を下から持ち上げる。刃が食い込み、千雨が鋭い痛みに短く叫ぶ。 
「切り取って、移植してみよか」 
「ひっ」 
「ややな、冗談や。……ん?」 
このかは鼻をひくひくさせると、何か気付いたような仕草をし、そして千雨のスカートを持ち上げた。白 
い太ももがあらわになり、さらにその奥――。千雨の尻の辺り、そして純白のパンティが湿り気を帯びてい 
た。千雨は羞恥に顔を染め、うつむく。 
「おやぁ? 千雨ちゃん、お漏らしかー? ややなぁ」 

「……うっ、うるさいっ、黙れ!」 
このかは涙目で毒づく千雨をくすくす笑いながら、彼女のスカートとパンティを切り裂いて脱がした。 
あっという間に裸に剥かれた千雨は、反射的に腕を前に組み縮こまる。 
「あーっ、隠さんといてもええやん。ケチやなぁ」 
このかは振り返り、明日菜に目配せをした。明日菜はうなずくと、懐からカードを取り出し、一言つぶや 
く。カードが光を放ち、一瞬で巨大な剣へと姿を変えた。思わず唖然とする千雨。 
「邪魔な腕は取ってしまおか。よろしゅうな、明日菜」 
「はいはい」 
明日菜は乱暴に千雨をうつぶせにひきずり倒すと、このかと協力しながら力づくで両腕を前に伸ばし揃え 
させて、足で押さえ付けた。 
「や、やめろ、お前ら! 放せ! 何をしやがる!」 
千雨がわめき、必死にもがくが、明日菜に踏まれた腕は全く動かすことができない。まるで万力で固定さ 
れているかのようだ。思いつくかぎりの罵声を叩きつけるが、明日菜は涼しい顔で大剣を振りかぶった。 
「冗談だろ? やめろ、頼む、お願いだから、それだけはうわあぁぁぁっ!」 
大剣がものすごい勢いで振り下ろされ、千雨の腕は狙い違わず、二の腕のところで切断された。噴水のよ 
うに血が吹き出し、千雨が狂ったようにのたうち回る。 
「ぎゃあああっ! 腕が、腕がぁっ!」 
「ああもう、暴れんといてーな。死んでまうで」 
このかは千雨にまたがると、傷口に手をかざした。手のひらから光があふれ、切断面を包む。血が止まり、 
痛みが引いていった。 
「あ……?」 
「回復魔法や。どや、すごいやろ?」 
千雨は自分の体と、床に転がった自分の腕を交互に見比べた。まるで現実感がわかない。 
 あそこに転がっているのは何だ? なぜ手が動かない? 
「あ……え……?」 
「そうや、ついでに足もいっとくか。明日菜、太ももんとこから、よろしくな」 
「本当趣味悪いわね、このか」 
そう言いながらも明日菜は、千雨の足元に移動すると、剣を振り上げた。千雨は必死にもがくも、両腕を 
失った彼女に、もはや上に座って押さえ込んでいるこのかを跳ね除ける力はない。 
「や……止めろぉぉぉっ!」 
「そぉ……れっ!」 
「ぎゃあああああああっ!」 


四肢を失った千雨は、全裸で床に転がっていた。大量の血を失ったせいで呼吸が荒く、意識もはっきりし 
ていない。このかは床に転がる千雨の脚を、楽しそうに爪先でつついている。 
「なんやコレ、おいしそうやなぁ」 
このかの台詞に明日菜は顔をしかめる。あたりを覆うむせ返るような血の匂いに、とてもじゃないが食欲 
など湧いてこない。自分が言うのも何だが、やはりこのかは異常だ。 
「千雨ちゃん、気分はどうや?」 
足で胴体を押し上げるようにして転がし、千雨を仰向けにする。血でまだらに染まった手足を持たぬ白い 
裸身は、まるで生きたギリシア彫刻のようだ。蹴り転がされた千雨は軽くうめいただけで、呼び掛けには答 
えない。しかし、このかは構わず話し掛ける。 
「そうそう、朝倉に聞いたで。千雨ちゃん、『ねっとあいどる』やっとるんやってな。なんやわからんけど、 
スゴいな。アイドルゆうたら、やっぱ写真とか撮るんか? そや、ウチもいっちょ撮ったるか」 
このかは千雨の腕を拾い上げた。 
「とびきり芸術的なやつや」 
千雨の手をグーに握らせ、それを千雨の股間に押し当て、ぐりぐりとねじ込もうとした。 
「痛っ、いぎっ、っはあっ」 
「う……んっ、くっ、……あかん、なかなか入らへん」 
このかはすがるような目つきで明日菜を見た。明日菜は投げ遣りに、 
「やっぱ、よくほぐさないと入らないんじゃない?」 
「そっか、そやな! 明日菜、冴えとるわ」 
合点がいったこのかは、いったん腕を置くと、今度は自分の指で千雨の割れ目をいじり始めた。はじめの 
うちは痛がっているだけだったが、お互いだんだんと慣れてきたのか、痛みとは違う反応を見せるようにな 
っていった。ぬるぬるとした透明な液体が吹き出し、股間のまわりの血を洗い流していく。 
「そろそろええかな……と。……あかん、やっぱり明日菜、お願い」 
「しょうがないわね」 
明日菜は腕を受け取ると、手首の辺りをつかんで割れ目に押し当てた。先端を少し押し込むと、 
「このか、千雨ちゃんを押さえといて」 
「了解や」 
そして一気に押し込んだ。 

「ぎひいぃぃっっっ!」 
手首まで押し込むと、持つところをずらし、さらにねじ込んでいく。腕は最終的、肘の手前のところまで 
入っていた。異物を押し込まれ腹の形がいびつに歪んでいる。千雨は口の端に泡をつけてぱくぱく開きなが 
ら白目を剥いていた。 
「どや、腹がぼこぼこに歪んでてなんか艶めかしいやろ。これぞ芸術や」 
このかは余った手足を拾うと、ああでもない、こうでもない、と試行錯誤しながら千雨のまわりに配置し、 
携帯のカメラで撮っては動かし、撮っては動かしを繰り返した。明日菜はそれを呆れながら眺めている。 
「気が済んだ?」 
「うーん……やっぱ、もう一本も入れてまおう。明日菜、お願い」 
「はいはい」 
もう一本の腕を、今度は尻の穴にねじ込む。菊穴が限界まで広がり、拳骨が吸い込まれていった。千雨は 
意味不明の言葉をわめき、ひとしきり暴れたあとぐったりとして動かなくなった。胸が上下しているので、 
まだ死んでいないことだけは確かだ。 
「よし、これで完璧や」 
このかは満足そうにうなずくと、角度を変えて何枚か写真を撮った。 
「それ、どうするの?」 
「あとで朝倉に頼んで、千雨ちゃんのホームページに載せてもらうんや。こんな傑作、一人で楽しむなんて 
もったいないわ。千雨ちゃんのファンのみんなに見てもらわんと。名案やろ」 
「うわ、それは驚きそうね……」 
「そやろ!」 
明日菜の皮肉を、勘違いして受け取り喜ぶこのか。明日菜は呆れて、 
「もういい? そろそろ行くよ」 
「あ……うん、ええよ」 
「じゃあね、千雨ちゃん」 
明日菜は大剣を無造作に、千雨の腹に突き立てた。千雨はぐぼっと血の塊を吐き、少しの間痙攣してそれ 
きり動かなくなった。剣を引き抜き、素振りをして血を払う。 
「さ、行くわよこのか」 
「あん、待ってーな、明日菜ー」 
扉を開け、足早に立ち去る明日菜。このかはそれを小走りで追い掛けていった。 


夏美が目を覚ますと、そこは見覚えのない部屋だった。あたりを見回そうとして、自分が両手両足を縛ら 
れ、台にはりつけにされていることに気付く。しかも、着ている服が全部、脱がされていた。 
「気が付いたアルか」 
「くーちゃん!?」 
声のした方を向くと、そこに褐色の肌の少女――古菲が立っていた。古は夏美に近づいてくる。 
「くーちゃん、助けて!」 
「それは出来ないネ。せっかくの獲物を逃がすバカはいないアル」 
「え……? な、何言ってるの?」 
古は夏美の腹をやさしく撫でると、にっこり微笑んで、 
「夏美には実験台になてもらうアル」 
いったい古が何をしようというのか、夏美には全くわからなかった。それでも古が夏美を逃がす気がない 
ことだけはわかった。 
「冗談はやめてよ、放して、クーフェ」 
「私は本気アル」 
古は夏美の腹に指を一本突き立て、ずぶっと刺した。体内に異物が侵入する感触がして、刺された部分が 
熱くなる。 
「ひあっ」 
不思議なことに痛みはほとんどなかった。かわりに全身が痺れたようになる。傷口から流れた血だろうか、 
背中に生温いものを感じる。 
「どうアルか? 次はここアル」 
再び指を突き刺す。鈍い痛みとともに、体の内側を触られているような奇妙なこそばゆさが襲ってきた。 
悲鳴とも笑い声ともつかぬ声をあげる夏美。古はそれを見ると満足そうに微笑み、場所を変えて何度も指を 
突き刺した。 
「あン……」 
「いいね……いいアルよ、夏美」 
腹に無数の穴を穿たれ、恍惚の表情を浮かべる夏美。古は血で染まった手で、夏美の顔を撫でた。頬にべ 
っとりと血が付く。 
「さあ、次はどこがいいアルか?」 
「夏美ちゃん!」 
古が入り口を振り返ると、そこには大人びた雰囲気を持つ髪の長い少女――千鶴が立っていた。 
「あ……、ちづ……姉?」 
「千鶴アルか。どしたネ、そんな恐い顔をして」 
「夏美ちゃんから離れなさい!」 
古はやれやれと言わんばかりに首を振ると、 
「……え?」 
次の瞬間、古は千鶴の目の前に移動していた。顔と顔が触れ合わんかの距離でニヤッと笑い、千鶴の胴に 
両手を押し当て―― 
「はっ!」 
短く息を吐くと、一瞬遅れて千鶴の背中が爆ぜた。肉片がびちゃっ、と床一面に飛び散る。腰からほとん 

ど真っ二つにされた千鶴は、脊椎の支えを失い垂直に崩れ落ちた。倒れた時にねじれ、足と胴体が逆を向い 
ている。 
「ちっ、……ちづ姉ぇぇっっっっ!」 
夏美がすごい悲鳴をあげている。古はちょっと顔をしかめながら夏美の下へと歩いて戻った。 
「ちづ姉っ、ちづ姉っ、ちづ姉っ、ちづ……」 
「うるさいネ」 
古が夏美の喉をひと突きにした。指を深くめり込ませ、かき混ぜるように動かすと、夏美はそれきり声を 
出せなくなった。 
「さあ、ゆっくり楽しむアルヨ」 
古は両手を持ち上げ、指をくねくねと動かすと、その指で夏美の全身を貫いた。こめかみ、耳の裏、乳房、 
腋の下、太もも、下腹……。突かれるたびに夏美は体を震わす。全身の穴という穴から血や体液を垂れ流し 
悶える、その姿はまるで悦んでいるようにさえ見えた。小便が勢い良く放物線を描く。 
「ふむふむ、勉強になるアルヨ」 
眼窩に指を掛け、ぐいっと力を込めると、目玉がにゅっと飛び出した。夏美はよだれを垂らして恍惚の表 
情を浮かべる。古は飛び出た目玉を指先でつまみ上げ、ひと通り観察すると、ひょいっと口に放り込み舌の 
上で転がした。 
「ほれはなかなかおいひいアルヨ、なふみ」 
奥歯で噛み砕く。ぐちゃっと目玉が破裂した。そのままくちゃくちゃと何度か咀嚼し、ぐいっと飲み込む。 
「次はどこにしようカ……」 
腹に掌を当て、ぐっと力を込める。手首のところまでずぶっとめり込んだ。腹の中でぐるぐる手をかき混 
ぜると、それに合わせて夏美の体が踊った。ぐっと何かをつかみ、引き出す。どくんどくんと脈打つピンク 
色の筒。引っ張るとどこまでも伸びた。引きちぎり、食らう。口の中に血の匂いが広がる。 
「内臓も悪くないネ。うーん、あとはやっぱり……」 
古はくり抜かれた眼窩に指を掛け、力を込める。ミシミシと音をたて、頭蓋が裂ける。ピンク色の脳が、 
隙間から覗いた。古はペロリと舌を出すと、腕に込める力を増し……。 

明日菜は顔をしかめながら部屋を見回した。 
「くーふぇの奴、これはこのかといい勝負ね。……これで二人、えーっと……、刹那さんを含めずに数えて、 
合計で……八人か」 
あと一息だ。ネギに知られる前に、片をつける。やれるか? 大丈夫、やれる。なぜなら私は一人じゃな 
い。仲間がいるから。一人では無理でも、私たちなら、きっと。 
目を閉じ、犠牲者に黙祷を捧げると、明日菜は部屋を後にした。次の標的に向かうために……。 


「ねぇ、ここ、見つからないかな?」 
 怯えた様子のハルナは、夕映の手を握りながら、不安そうにあたりを見回していた。 
「だ、大丈夫ですよ、きっと」 
根拠のない励ましだと思ったが、それでも今は夕映がいてくれるだけで助かっているのは否定できない。 
一人で逃げ回っていたらとても、気持ちが保たなかっただろう。感謝せねば。夕映だけではない。もう一人、 
のどかにも―― 
「あれ? のどかは?」 
それを聞いた途端、夕映が何やらあわてだした。不審がるハルナ。そして偶然か、それとも第六感が働い 
たのだろうか、ふとハルナが振り返ると――、そこには手にロープを持ったのどかが立っていた。 
「のど――」 
素早くロープをハルナの首に掛けると、のどかは一方の端を夕映に渡し、 
「引いてっ!」 
言われるままにロープを握り、目を閉じてぎゅっと引く。ぐげげっ、という呻き声が聞こえた。 
「……え、夕映っ」 
ハッと気が付き目を開けると、のどかの顔が見えた。 
「もういいよ、夕映」 
指差された床を見下ろすと、ハルナが物凄い形相で倒れていた。目玉は飛び出し、口から舌が飛び出して 
いる。首には爪でかきむしった赤い跡が何本も付いていた。 
「大丈夫、うまくいったから」 
「のどか……私、私はっ」 
「大丈夫よ、夕映……」 
震える夕映を、のどかは優しく抱き締めた。ぬくもりが体に染み、震えが止まっていく。二人は見つめ合 
い、どちらからともなく唇を重ねた。そのまま、お互いの体をまさぐり、服を剥いでいく。 
(何をやっているですか、自分) 
 夕映の頭の奥で、これは異常だと警告を発するのが聞こえた。異常で何が悪い。何でもいい、今はこの手 
に残る嫌な感触、さっきの出来事を忘れさせてくれるのなら……。 
やがて二人は下着だけの姿となった。のどかはゆっくりと夕映を押し倒し、上に覆いかぶさると、夕映の 
ブラジャーを外し始めた。夕映も、のどかのブラジャーに手を伸ばす。二人の白くなだらかな胸を覆い隠す 
ものが取り払われた。のどかはしばしの間、夕映の裸を見つめ、そして恐る恐る、その小さなふくらみに手 
を触れた。 
「あ……」 
夕映は思わず声が漏れた。恥ずかしげに頬を染めると、お返しとばかりにのどかの胸を撫でる。今度はの 
どかが嬌声を上げた。のどかは夕映と胸を揉み合いながら、片手を夕映の下半身に伸ばし、パンティの中に 
指を滑り込ませた。 
「あっ、だめですっ」 
かすかな理性が姿を見せるが、のどかの指使いに一瞬で吹き飛んでしまった。夕映の喘ぎ声が大きくなる。 
「あっ、ああっ、のどかぁっ」 
のどかは夕映を弄びながら、反対の手を自分の股間に当て、激しく動かし始めた。 
「ゆえっ、ゆえぇっ」 
「のどかっ、のどかぁっ」 
ここでいったん動きを止め、のどかが身を起こした。突然の中断に、夕映は不満そうにのどかを見上げる。 

のどかは夕映が何か言う前に、その唇を自分の唇で塞ぎ、その体勢のまま夕映のパンティを脱がせた。次に、 
自分のパンティも脱ぎ捨てると、夕映の脚を開かせる。そして、夕映を抱き寄せ、片足にまたがるように座 
り込むと、腰を密着させてお互いの股間を擦り合わせた。粘膜が触れ合い、ぴちゃぴちゃと音が鳴る。 
「んんんーっ!」 
まだ唇は重ねたままだ。舌と舌が絡み合う。互いの唾液を吸い合い、胸を押しつけ合い、最も敏感な部分が繋がり合う。腹から尻に 
かけてが、まるで漏らしたかのようにぐっしょり濡れた。 
やがて、夕映が限界に達した。びくっと一度、身体を大きく震わすと、唇を離して絶叫し、弓なりに反り 
返った。細かく痙攣する夕映。のどかはますます激しく腰を振った。ついに限界を越え、夕映の尿道から液 
体が噴出した。液体はのどかの敏感な部分を直撃して飛び散り、霧のように舞った。その衝撃にのどかも限 
界に達し、仰け反って悲鳴を上げた。意識が白に包まれ、全身の力が抜けていく……。 

先に目を覚ましたのはのどかだった。身を起こし、安らかな寝息を立てる夕映を見下ろすと、のどかは、 
夕映を起こさぬよう慎重に馬乗りになった。そして、その首に手をかけ――、 
「……っ、ごめんね、夕映っ!」 
しばしためらいながらも、ついに意を決し、力を込めた。夕映が目を覚ましてもがく。その手がのどかの 
腕を握り、爪が食い込んだ。激しい痛みを感じながらも、決してのどかは力を緩めなかった。 
「ごめんねっ、ごめんねっ!」 
気が付くと、腕をつかむ力を感じなくなっていた。恐る恐る、力を抜き、首から手を離す。 
夕映は、もう動いていなかった。 
見開いた目をそっと撫で、まぶたを閉じてやると、のどかは無性に悲しくなった。 
「……うっ、うぇっ、うぇぇぇぇっ!」 
涙があふれ、頬をつたう。のどかは物言わぬ夕映の頭を胸に抱き締め、泣きじゃくった。 
「……ぐすっ、ひっく」 
ひとしきり泣いて、気持ちが落ち着いたのどかは、脱ぎ捨てた制服から携帯を取り出した。そして、深呼 
吸を一回した後、通話ボタンを押した。 

「……うん、わかった。ありがと」 
明日菜は携帯を切った。 
「なんやて?」 
「のどかから。二人殺ったって」 
「ほかほか、それじゃもうすぐやな」 
「うん……、もうすぐだね」 
明日菜は携帯をポケットに戻すと、五月の胴に突き刺さった大剣を抜いた。 
「もうすぐ、すべてが……終わる」 


足音が聞こえる。二つ。明日菜は振り返った。 
「来たわね、ネギ。それから……」 
「アスナさんっ!」 
明日菜を呼ぶ二人の声が重なった。一人はネギ、もう一人は――。 
「いいんちょ」 
「アスナさん、あなた一体何を考えてるんですか!」 
「アスナさん、このかさん、その……投降して下さい! 他の人たちはみんな、捕まりましたよ!」 
悲痛な顔で呼び掛けるネギ。一方、その傍らに立つあやかは、厳しい顔つきで明日菜を睨んでいる。ネギ 
がどうすべきか迷っているのを見て、あやかは一歩踏み出してかばうように前に立った。 
「下がっていてください、ネギ先生。……アスナさん、わたくし、あなたのことを友人だと思っていました 
のに! 今ならまだ、間に合いましてよ」 
「間に合う? 何が?」 
鼻で笑う明日菜に、あやかはぐっと返答に詰まる。確かにこんなことをしでかして、今更ただで済むはず 
がない。空しいことだと感じつつも、あやかは説得を続けた。 
「……そもそも一体なぜ、あなたがこんなことを!? アスナさん、答えなさい!」 
「……ネギのためよ」 
「ぼ、ぼくの?」 
意外な返答にあわてるネギ。 
「そ、そんなこと、ぼく頼んでませんよ!」 
「そうですわ! ふざけるのも大概にしなさい!」 
あやかが憤慨して明日菜に詰め寄り、襟をつかむ。あやかを冷たく見下ろすばかりで何も言わない明日菜 
にかわって、このかが説明を始めた。 
「あのな、ネギ君をお父さんに会わせてやるんや」 
「お父さんに!?」 
「どういうことですの、このかさん!」 
「ネギ君のお父さんは、今、魔界ゆーところにおるんよ。だから、生け贄を捧げなあかんねん」 
何を言っているのかわからず、混乱するあやか。すると、明日菜が口を開いた。 
「……つまりね、こういうことよ、いいんちょ」 

「……え?」 
次の瞬間、あやかの胸を明日菜の巨大な剣が貫いた。心臓を完全に破壊されて、あやかは絶命した。 
「いいんちょさん! ア、アスナさん、なんでこんなひどいことを!」 
「言ったでしょ。あんたをお父さんに会わせてやるためよ」 
「魔界の入り口を開くには、十三人の生け贄を捧げなあかんのよ、ネギ君。けどもう終わりや。いいんちょ 
で、ちょうどピッタリ十三人」 
まるで罪の意識を感じていないように、にっこり微笑むこのか。明日菜はそれを見ると表情を曇らせた。 
「違うわ、このか」 
あやかの亡骸が床に落ちて音を立てる。その一瞬で、明日菜はこのかの足元に移動していた。身を屈めた 
態勢のまま剣を一閃、横薙ぎにする。 
「――これで十三人よ」 
胴に刃が食い込み、くの字に曲がる。このかはそのまますさまじい勢いで床に叩きつけられた。血を吐き 
ながら、このかは力を振り絞り明日菜を見上げる。信じられない、という表情で。 
「……な……んで……」 
「……刹那さんは、ヒトじゃないから」 
このかはピクリとも動かず、もはや明日菜の返事も聞こえていなかったのかも知れない。ゆっくりと歩み 
寄り、とどめを刺すべく明日菜が剣を振り上げたのを見て、ネギが止めに入った。 
「どきなさい、ネギ」 
「……アスナさん! ……もう、やめて下さい!」 
明日菜はいささかも心を動かしたように見えない。手を広げてこのかと自分の間に立ちふさがるネギを、 
明日菜は無造作に押しのけた。たたらを踏んで振り返るネギ。 
「やめ……!」 
ネギの叫びも空しく、剣が振り下ろされた。このかの首が転がり、虚ろな目がこちらを向いて止まった。 
「うっ……、うわあああっ! このかさんっ、このかさんがっ!」 
ネギはこのかの首に駆け寄り、手を伸ばす。明日菜はそれを後ろからやさしく抱き寄せた。 
「はっ、放してくださいっ、あ、アスナさんっ!」 
「落ち着きなさい、ネギ」 
明日菜はネギを振り向かせ、目を見据えた。ネギはびくっとして固まる。 
「もう死んだ子たちは帰ってこないわ。今やめたら全て無駄よ。儀式を続けましょう」 
「儀式……?」 
「そう、最後の仕上げよ……」 
そう言うと、明日菜は服を脱ぎ始めた。 


「どうしたの? ほら、ネギも脱ぎなさい」 
はらり、スカートが落ちる。ネギはどうしたらいいかわからず、顔を手で覆った。 
「ほら、早く」 
下着姿の明日菜が急かすが、ネギが動かないのを見ると、自らネギの服を脱がせ始めた。 
「仕方ないわね、ネギ。……、あら、こんな状況でも元気なのね」 
ネギのトランクスが、ぴょこんととんがっている。明日菜はクスッと笑った。 
「手間が掛からなくていいわ」 
「あ、あのっ、ダメですっ、やめて下さい!」 
「お父さんに会いたくないの?」 
「!」 
「必要なことなのよ……さぁ」 
明日菜はネギのトランクスを脱がすと、勢い良く飛び出したかわいらしいペニスに軽く口づけした。 
「あうっ」 
「さあ、横になって」 
ネギを仰向けに寝かすと、つけていた下着を外し一糸まとわぬ姿になる。思わず息をのむネギ。明日菜は 
ネギにまたがると、自分の股間に手を当て、割れ目をネギに広げてみせた。 
「ほら、ここに入れるのよ……」 
「あ、アスナさん、ぼく、ぼく……」 
明日菜がぷるぷる震える竿に触れると、ネギは短く呻いた。一瞬ためらうが、気を取り直し、しっかりと 
それをつかむ。そのまま、自分の股間へと導いていった。ネギのペニスが、明日菜の手の中で今にもはち切 
れんばかりに激しく脈打つのを感じる。 
「んっ……」 
亀頭が陰唇に触れた。熱い感触に明日菜が思わず腰をくゆらすと、反応してネギが声を洩らした。 

「いくよ、ネギ……!」 
恐る恐る、という感じで明日菜が腰を沈めていく。ずぶっ、ずぶっ、と明日菜の中にネギのペニスが入っ 
ていき、やがて奥に達すると明日菜はふーっと息をついた。 
「……どう、ネギ?」 
「あ……熱いです」 
「ふふっ」 
明日菜の膣にペニスをきつく締め付けられて、ネギはまともな思考力を失っていく。 
「それじゃ、動かすね……んんっ」 
明日菜はぎこちなく、腰を上下させ始めた。だんだん呼吸が荒くなっていくにつれ、腰の動きも大きくな 
っていく。 
「ああっ、ネギっ! ネギっ!」 
「アスナさんっ! アスナさあぁぁんっ!」 
いつの間にかネギも、明日菜の動きに合わせて腰を突き上げ始めていた。 
「ああっ、いっ、いいっ、いぃぃぃいっっ!」 
「アスナさんっ、で、出る、出るよぉっ!」 
「来てっ、そのままっ、ネギっ、来てぇぇぇっ!」 
ひときわ高く突き上げると、ネギはびくんびくんと腰を震わせた。熱い奔流が胎内に注ぎ込まれ、明日菜 
は身を仰け反らせて叫んだ。そして、くたっと前に倒れこむ。胸に体重が掛かり、ネギが軽く呻いた。 
「よかったわよ、ネギ……。さぁ、これで儀式は完了よ」 
明日菜が耳元でささやく。まだ呼吸が荒い。 
「あ、アスナさん、ぼくは……!?」 
突然、二人のいる床が光の輪に包まれたと思うと、体が地面に沈み始めた。本能的な危険を感じ、あわて 
て身をよじるが、明日菜が上に乗っていてうまく動けない。 
「アスナさんっ、ダメです! ここは危険です! 早くどかないと!」 
「いいのよ、これで……。さあ、お父さんに会いにいこう」 
明日菜は身を起こし、ネギを見つめると唇を重ねた。その間にも二人の体はゆっくりと闇に沈んでいく。 
「二人で……」 
やがて二人の姿が完全に沈み込むと、光の輪は急速に縮み、消えてなくなった。 

しばし遅れて、その部屋に入ってくる人影があった。金髪の少女は死体の転がる部屋を見回すと、苦々し 
げに吐き捨てた。 
「ちっ……、バカどもが……」 
間に合わなかった。せっかく知恵をつけてやったというのに。まあいい、今回は失敗でも、私には無限の 
時間がある。いずれ、必ず……。 
険しい表情を浮かべ、もう一度だけ辺りを見回すと、エヴァは長い金髪を翻して部屋を立ち去った。 
廊下を歩き去るエヴァは、もう二度と振り返らなかった。 



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