RIDE・STAR


相思の仲 

あの日から、 
私とこのかお嬢様の関係は、護る者と護られる者という間柄ではなくなった。 
それ以上の関係・・・・・・つまり、 
『恋人同士』になってしまったのだった―― 


 心中で 
 揺れる二輪の 
 百合の花 


・・・・・・・・・・・・ 
「ふー・・・・・・」 
なんとなく俳句がぱっと思い浮かんだのだが・・・・・・ 
どことなくあの日のことが気に掛かっているような気がする。 
あれから一週間―― 
私たちは出会う度に、顔を真っ赤にしてしまい、危うくクラスメイト数人に勘付かれそうになったこともあった。 
・・・やっと金曜日の放課後になり、何とか切り抜ける事が出来てほっとしているのだが。 
う〜ん・・・・・・・・・・・・ 
明日、明後日と休みか・・・ 
今夜はどうなのだろうか? 
・・・って、 
期待しているんじゃなーいっ!! 

―午後8時過ぎ― 

体は――洗った。 
寝間着は――着た。 
お布団は――敷いた。 
・・・って、 
あれ? 
何で準備しちゃってるのだろう? 
・・・まいっか。 
来るなら早く来てください、お嬢様。 


―午後9時過ぎ― 

・・・・・・・・・・・・ 
期待した私がバカだった。 
・・・って、言うより、 
今思えば、お嬢様との約束はしていなかったっけ・・・・・・ 
なにやっていたんだろう、自分は・・・・・・ 
・・・・・・・・・・・・ 
眠いから早く寝よう。 
戸締まりをして・・・ 
がちゃ 
明かりを消して・・・ 
ぱち 
目覚まし時計のセットをして・・・ 
かち 
・・・よし。 
「おやすみなさーい・・・・・・」 
くー・・・・・・ 
・・・・・・・・・・・・ 
ぴーんぽーん 
「おじょ〜さま〜♪」 
私は布団を勢い良く蹴り飛ばして玄関のドアを開けて出迎えた。 
その間、わずか5秒だった。 
「・・・? 
 結構舞い上がっているみたいじゃないか、刹那。」 
「たっ、たっっ、 
 龍宮!?」 
「相方の様子がおかしい事ぐらい、すぐに気付いたぞ。」 
「はわわ・・・ 
 どうかこの事は誰にも言わないでクダサイ・・・・・・」 
「フフッ。 
 怯えた顔もカワイイなぁ・・・ 
 安心しなよ。誰にも言わないよ。」 
「はぁ〜・・・ 
 良かった。」 
「――しかし、 
 このネタは何かに使えるなぁ・・・」 
びびくぅっっ!! 
「本当に面白いなぁ。 
 反応が丸分かりだぞ?」 
「うっ、うるさい! 
 ・・・それより、何故ここに?」 
「ああ、 
 そう言えば、これを渡してやろうと思ってな。」 
と言って、一冊の文庫本を取り出した。 
「・・・何?」 
「読めば分かる。 
 じゃあな。」 
「ちょ、ちょっと龍宮!?」 
バタン 
・・・行ってしまった。 
・・・・・・・・・・・・ 
まぁ、いいか。 
明日読もう。 



―翌朝― 

ちちちちちち・・・・・・ 
・・・・・・・・・・・・ 
じりりりりりりり・・・・・・ 
かち 
じりん 
・・・・・・・・・・・・ 
がばっ 
「はぁ〜・・・・・・」 
やっぱり来なかった・・・ 
・・・・・・当たり前だな。 
早く支度して朝練をしよう。 

―広場― 

ヒュン、ヒュン、ヒュン・・・・・・ 
「997、998、999、1000! 
 ・・・ふ〜、いい汗かいた。」 
今、この近くのシャワー室はほとんど使われてないよな・・・・・・ 
・・・ふむ、 
シャワーでも浴びて汗を流すか。 

―第8シャワー室― 

シャアアアアア・・・・・・ 
・・・キュッ、キュッ 
「ふぅ・・・・・・」 
さっぱりした。 
さてと、 
早く着替えよう。とした時、 
「おはよー、刹那さん。」 
と、親しい声で挨拶された。 
その人は、 
「おはようございます、明日菜さん。」 
私が剣を教えている明日菜さんだった。 

「もしかして朝練帰り?」 
「ええ、そうですが。 
 明日菜さんはアルバイトの帰りですか?」 
「うん。」 
「毎日ご苦労様です。」 
「刹那さんこそ。」 
「では、失礼します。」 
「あっ・・・ 
 ちょっと待って。」 
「はい。 
 何でしょうか?」 
「あのさ・・・ 
 一週間前、このかと何かあった?」 
「お、お嬢様と? 
 ・・・何故そう思われるのですか?」 
「だって・・・ 
 私が起きた時に、このかの姿が無かったし、刹那さんも広場に来ていなかったから・・・・・・」 
ぎくぅぅっっ!! 
そっ、 
そーだった!! 
「・・・何? 
 もしかして、 
 図星?」 
・・・・・・・・・・・・ 
・・・仕方ない。 
明日菜さんには言っておこう。 
「あのー・・・ 
 実は・・・・・・」 
「何?」 
「・・・・・・お嬢様と・・・ 
 ・・・恋人・・・・・・以上の・・・・・・関係に、なってしまいました・・・・・・」 
「・・・・・・・・・・・・ 
 え・・・・・・ 
 えーっと・・・・・・その・・・・・・ 
 ・・・・・・しちゃった?」 
「・・・・・・ええ、 
 ・・・・・・してしまい・・・ました・・・・・・」 
「・・・・・・・・・・・・ 
 ・・・冗談、じゃない?」 
「・・・・・・・・・・・・ 
 ・・・・・・本当の、事です。」 
「・・・もう、驚くより、 
 ・・・唖然としちゃった。」 
「・・・ええ。 
 そうでしょう。 
 ・・・この事は、他の皆さん―― 
 ――このかお嬢様にも―― 
 ――黙っていて下さい。」 
「・・・当たり前じゃない。 
 こんなこと、みんなが知ったらややこしくなるじゃない。」 
「・・・そうですね。」 
「この事は、忘れるわ。」 
「そうして頂けると、ありがたいです。」 
「それよりさ・・・ 
 今日の午後から、一緒に練習してくれない?」 
「はい。 
 構いませんよ。」 
「じゃあ、いつもの所で。」 
「では、失礼します。」 
そして、私は脱衣所へと向かった。 


―昼過ぎの広場― 

パン!パン!パパン!! 
「はっ!やっ!そこですっ!」 
「なんのっ!」 
ヒュン! 
ほんの僅かの隙をついたみたいだが、 
「甘いです!」 
サッ! 
私は紙一重でかわしていった。 
「えっ!?」 
まさかかわされるとは思ってもいなかったらしく、それが故に隙だらけになってしまった明日菜さんに、 
パンッ 
と、静かに一打を入れたのだった。 
「あちゃ〜・・・ 
 またやっちゃった。」 
明日菜さんは悔しがっているみたいだ。 
「基本的に明日菜さんの戦いは『勝ちに行く戦い』なのですが、 
 時には『負けない戦い』というのも重要なのです。 
 その事も頭に置いていてください。」 
「・・・うん、分かった。」 
「では、再開します。」 
「おっけ〜。」 
そして再開しようと思った時、 
「せっちゃ〜ん。」 
ぴくっ 
その聞き覚えのありすぎる声に、つい体が反応してしまった。 
「おっ・・・ 
 お嬢様・・・ 
 何でございましょうか?」 
私はとりあえず尋ねてみると、お嬢様は顔を少し赤くして、 
「あのな〜、 
 ちょっと耳貸して〜。」 
「・・・はい。」 
「え〜っとな〜・・・ 
 今日の夜、せっちゃんの部屋に行ってもええ?」 
「・・・またですね?」 
「うん。」 
「・・・ええよ、 
 このちゃん。」 
「あっ・・・ 
 ありがとう。」 
「では、私はまだ練習があるので。」 
「ほなな〜。」 
そして、お嬢様は去っていった。 
「・・・何の話?」 
「あの・・・ 
 ・・・・・・今日も誘われました。」 
「あっ、あはは〜・・・ 
 ・・・明日は無くてもいいよ。」 
「? 
 何がですか?」 
「練習のこと。」 
「ああ、なるほど。 
 ・・・どうも、お気遣いありがとうございます。」 
「いやいや。 
 それより、続きをしましょ。」 
「はい。」 


―夜7時頃― 

ごちそうさま〜。 
食器を片付けて・・・っと、 
・・・・・・暇だ。 
・・・っと、そうだ。 
龍宮から貰ったあの本でも読もう。 
え〜と、 
『お江戸百合物語』? 
タイトルが適当っぽいのは気のせいか? 
なになに・・・・・・ 

―夜8時頃― 

あ〜 
え〜 
・・・・・・・・・・・・ 
はっ! 
何なんだこのエロ小説は!! 
勢いだけで3分の1も読んでしまったではないか!! 
・・・しかし、 
コレはコレでなかなか役に立ちそうな事が色々と載っていたな・・・・・・ 
後で実践させてもらいたい・・・が、 
果たしてこの通りに出来るのか? 
・・・まあいい。 
そろそろ身支度を整えよう。 


―夜9時頃― 

体は――30分かけて丁寧に洗った。 
寝間着は――着ているが下着はつけてない。 
お布団は――2人分敷いた。 
・・・・・・・・・・・・ 
はやくきてくだ『ぴーんぽーん』 
はやっ!! 
「お〜じょお〜さま〜〜♪♪」 
どたたたたたたたたっ!! 
ガチャッ!! 
「ようこそ、私の部屋へ。」 
「それでは、お茶でも頂こうかな。」 
「あれ?・・・って、 
 また龍宮!?」 
そこには、寝間着姿の龍宮がいた。 
「ああ、また私だが、どうした?刹那。」 
「どうしたもこうしたも無くて! 
 何でいつもこんな時に?」 
「何故・・・って、 
 貴女が朝と昼と修行しているから、会えないのだよ。」 
「そ、そーでした・・・」 
「・・・にしても、だ、 
 昨日の本はもう読みきったか?」 
「い、いや・・・ 
 3分の1程しか読んでいないが・・・」 
「まだだな。」 
「何が?」 
「本格的なのは。」 
「・・・そこまで書いてあるのか。」 
「フザけた題名の割には、けっこうスゴイ描写があるから、注意するんだな。」 
私は顔を赤くしながらも、 
「・・・分かった、 
 もうすぐお嬢様が来るから、早く帰ってくれないか?」 
「いや・・・ 
 それは出来ない。」 
「!? 
 何故・・・?」 
「それは・・・ 
 今から私が貴女を食べるからだよ。」 
「えっ・・・・・・? 
 ・・・確か、人の肉ってざくろの味がするって聞いた事があるけど・・・・・・」 
「いやいや違うからそういう意味じゃないから。」 
「・・・じゃあ、 
 どういう意味だ?」 
「こういう意味だ・・・」 
そう言って龍宮は私を引き寄せ、 
――キスをしたのだった―― 



・・・・・・???!!! 
う・・・そ・・・・・・だ・・・・・・ 
う、そ、だ、嘘だ嘘だ嘘だうそだうそだウソだウソだウソダウソダウソダキットジョウダンニチガイナイソウデナケレバナニデアロウカ―― 
―――――― 
――長いようで 
短かかった時が流れて行くなか 
私の思考回路は 
この一瞬の情報量の多さのせいで考える事すら出来ず 
完全に止まっていた。 

――私から離れ、 
「可愛いねぇ・・・・・・ 
 これだけ純情なら、この後はどうなってしまうのだろう・・・・・・フフフッ。」 
龍宮が不敵な笑みを浮かべながら言った。 
そして、あまりにも激しすぎるショックから全く立ち直っておらず、直立不動な私を軽々と持ち上げ、 
部屋の中へと入り、カギを閉めたのだった。 
バタン・・・ 
ガチャッ 

―――――― 
夢だ 
間違いだ 
そうでなければ 
何なのだろうか―― 

私は布団の上に寝かされ、ゆっくりと服を脱がされた。 
「これまで付き合っていた間、ずっと抑えてばかりだっただが・・・ 
 今日とうとうガマン出来ずに実行に移してしまったよ。 
 ・・・にしても、いい加減抵抗してくれないと、どうなってしまおうが保障致しかねるぞ。」 
――嘘だ 
これは 
冗談の過ぎた、幻なのだ。 
・・・強制的に思考回路を動かす為、私はそう割り切った。 
そして、 
やっとの思いで言葉を口に出す事が出来た。 
自分すら予想していなかった言葉が。 
「・・・・・・ 
 ・・・抵抗は、しない。」 
と。 
それを聞いた龍宮は驚き、 
「正気か? 
 ・・・まあいい。 
 今日の夜は濃くなるなぁ・・・・・・」 
と、ニヤリと笑みを浮かべながら言った。 
その後、 
龍宮はゆっくりと私の上に覆い被さり、 
私の口内を犯し始めた。 

ちゅっ・・・・・・くちゅっ・・・・・・ちゅっ・・・・・・・・・・・・ 
ゆっくりと、優しく、静かに、そして、味わうように動く龍宮の舌。 
私はそれを受け入れ、感じ取り、心地よくなり、何かが少しずつ溶けていくような気がした。 
そして、私の口の中に、 
龍宮の唾液が、 
少しずつ流れ込んできた。 
こくっ・・・・・・こくっ・・・・・・こくっ・・・・・・・・・ 
私はそれを受け入れ、飲み込み、欲していった―― 

・・・・・・もう・・・・・・だめ・・・・・・私・・・・・・・・・ 
・・・離れられなく、なっちゃう・・・・・・ 



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