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M.N ◆KdHR5dDf/Y


「ふぁ〜…昼は暇だな…」 
「家に戻られますか?マスター」 
「…たまには散歩もいいだろう」 
「はい。」 

我が名はエヴァンジェリン。今は私の従者、茶々丸と見慣れた麻帆良の風景を 
眺めながら散歩中である。もぅ20年近くここで中学生を演じているが、ここの景色は 
あまり変わらない。ひとつ変わったといえば、あいつらが卒業したってところだろうか。 
そう、あいつらとは元3-Aの生徒達。坊やの初めての生徒達と言ってもいいだろう。 

「あっ、エヴァさん茶々丸さん。こんにちは」 
「…あぁ。」 
「こんにちはネギ先生」 

一瞬心臓が跳ね上がった。最近はこればかりだ。あいつらが卒業して10年が経ち、 
坊やも二十歳。成長した坊やは本当にナギに似ていて、私をいつもびっくりさせる。 
背も今では上を向かなければ会話もできない状態だ。 
そんな私の気持ちも知らず、ヘラヘラ笑って手なぞ振りおって。イライラするのか安心 
するのか分からない笑顔。多分後者だろうな…。 

「今日も授業終わったらエヴァさんの家行きますね。」 
「うむ…分かった…」 


これがいつもの私達の会話。二十歳になった坊やは毎晩、私の家に酒を飲みにきている。 
神楽坂明日菜が卒業した今、坊やも泊まる所も無いのでほとんど私の家で寝泊りもしている。 
本来はどこに寝泊りしておるのかは知らんが…。別に知りたくも無いし、知る必要も無いので 
あえて聞かない。 

「じゃエヴァさん、また後で」 
「あぁ…またな」 

タッタッタと校舎の中へ小走りで入っていってしまった。坊やが私の事を「師匠」ではなく 
名前で呼ぶようになったのは理由がある。私達は付き合っている…いや、この言葉は変か。 
交際?いやいや、さらに悪化してではないか。坊やの告白を私が受け入れた…これか? 
まぁとにかく、言いたい事は分かってもらえると思うが… 
坊やが私に告白してきたのは3年前。 


「僕は、エヴァさんの事が好きです。ひとりの女性として…」 

降りしきる雨の中傘もささず、ずぶぬれになりながら真っ直ぐな瞳で私を見ながら坊やは言った。 
私は何の冗談かと思ったが坊やの目を見れば冗談では無いことが安易に理解できた。 


「…それで?」 
「付き合って下さい」 
「……」 

 ザ―――― 

私はしばらく無言だったが、坊やはその間ずっと返事を待つように私の目を見つめていた。 
いい加減ずっと無言というのもうんざりしてきたので、私は坊やの元へ歩み寄った。 

「私を一生愛せる自信があるのか?」 
「はい。もちろんです」 
「私と一生一緒にいたいのか?」 
「はい。」 
「坊やが先に死んで、私が悲しむ事になっても?」 
「………」 

  ザ―――― 

今度の無言を作りだしたのは坊やだった。これが答えられなければ、私と一緒にいるなど到底不可能だ。 
まぁたかだかガキの気の迷いにここまで聞く必要もなかったがな。最初のセリフなど、まるでプロポーズされた 
みたいではないか。バカバカしい。 


「…ぼ、僕は…ずっと一緒にいたい…です。たとえ、僕が先に死んでしまって、エヴァさんを悲しませる事になっても」 
「そうか…」 

坊やは言い切った後少し後悔したようにうつむいてしまった。前髪で顔を見る事はできない。 
私はこの言葉が欲しかった。私はわざとらしく溜息を吐き、坊やにタオルを差し出した。 

「仕方ないな。お姉さんがしばらく付き合ってやるか」 

花が開いていくように坊やの顔がいっきに明るくなった。ありがとうございますっと何度も頭を下げ、受け取ったタオルで 
涙を拭いていた。私は雨を少しでもしのげるようにと手渡したつもりだったのだがな…。 


「…茶々丸、今夜の酒を買いにいってくれ。酒の種類はお前に任せる」 
「はい。マスター」 
「種類は任せるが、質は上等な物を頼む」 
「分かりました」 

茶々丸はペコリと頭を下げて、酒を買いに行った。私はそれを見送ると、5時間目の授業に出席するため校舎に向かって 
歩いた。特に理由は無い。寝るにはもう眠気は残っていないし、やる事も無いので出るだけだ。別に5時間目は坊やの 
授業だからというのは関係の無いことだ。…まぁ付き合ってるからといって格別前となんら変わりは無いがな。 
唇や体を重ねるのは毎日の事だ。じゃあ付き合うってなんなんだ?…よく分からんぞ。 

「まぁこんな事、分からなくてもいいか…」 
「何が分からないんですか?」 

 バッ!――― 

独り言を聞かれた恥ずかしさの余り、聞いた奴を見てやろうと勢いよく声のした方を振り向いた。そこには朝見た、坊やの顔 
がドアップで映し出されていたのだ。さすがに少しびっくりした。 

「分からない事があったらいつでも聞いて下さいね」 
「あ…あぁ…」 
「それじゃ、次授業なので急ぎますね」 

と言い残してさわやかな笑顔で教室へと走っていく。別に勉強の事が分からんわけでは無いが…まぁ勘違いしてる奴にいちいち 
説明している暇も優しさも私には持ち合わせていないがな。授業に行くのはやめてやはり家に帰るか…今夜も坊やが来るしな。 

  

 -エヴァ宅− 
「プハー。美味しいですねぇ。このワイン」 
「はい。ボルドーでも最も高価といわれている「ペトリュス」です。」 
「ふむ…これはなかなかだな」 
「僕ワインの事はよく分かんないんですけど、とっても美味しいですぅ」 

茶々丸は私の命令通り質のいい高級なワインを買ってきた。坊やはそろそろ酔ってきているみたいだ。まだ5杯目だろ… 
私は8杯目のワインを胃に流し込み、ワイングラスをそっとテーブルの上に置いた。すると坊やが私をひょいと抱き上げ、自分の 
膝の上に置きだした。私はびっくりして暴れたが、大きくなった坊やの力には全く適わず笑顔で私の抵抗はかわされた。 
まぁ酔っ払いに何をいっても無駄と思い、坊やの好きなようにさせてやることにした。 

「んん〜…エヴァさぁん…柔らかぁい…」 
「……痛っ」 

坊やは後ろからギュッと抱きしめてきた。私の小さな体はすっぽりと隠れてしまう。坊やは力を入れていないであろうが、やはり 
酔っ払ってては力加減もできないのだろう。すこし痛かった。数分の間、街中のバカップルみたいな格好で硬直していたがしばらく 
して、坊やの手が私の肩から私の頬へと登ってきた。少し力を入れられ、かくんと首を左に倒された。首を後ろの坊やに晒す格好 
となったのだ。坊やは私の首をペロリと一舐めした。とたん、首から全身まで電気が発信されたような感覚が広がる。 

「前つけたキスマーク…消えちゃってますね…付け直さないと…」 
「…ん。ほどほどに…して…」 
「分かってますよ…」 

チューっと強く首を吸われ坊やが口を離した時には、白の中に赤いものが濃いく浮かび上がっている。制服が邪魔に感じたのか、 
キスマークを付けながらゆっくりと私の制服を脱がしてゆく。シャツの上に羽織っているブレザーの2つのボタンを外し、するっと腕 
から外す。シャツも脱がすかと思えば、左に向いてた首を右に向け真新しいキスマークをつけた。焦らせるな… 

「ん…坊や。お前…」 

座っている場所に違和感が…お尻のあたりに何か硬い物が擦り付けられている。それは安易に想像できる代物だった。 
すでに興奮しきっている坊やの欲望の塊りだ。ズボンの中ではちきれんばかりになっている。そんな事を言ってる間に 
私は上半身を何も身に着けてない格好となった。ついでに下着も脱がされた。 

「スカートは脱がさないのか?」 
「ん……?僕の趣味です…」 

初耳だぞ…。そういうが早いか、坊やの手は私の膨らみの無い胸へと伸びてきた。大きな手はやんわりとした手つきでゆっくり 
私の胸を揉んでいく。 

「…んっ。…あぅ、ふ…」 
「気持ちいですか…?」 
「……」 

うん…なんて言える訳がなかろうに。知ってて聞いているのか…。まぁ別に否定もせんが。 
坊やの左手は私の胸へ、右手は股間に伸びてきた。一瞬ビクッと身ちぢこませたが、坊やが私の首を舐める度に緊張がほぐれる。 

「…濡れてますね。」 
「…い、いちいち口に出して言うな…」 
「何でですかぁ?」 

坊やは意地悪そうにそう言うと、人差し指の腹でクリトリスをコリコリっと刺激する。私はそれだけで達してしまいそうになり、唇を噛み締め 
必死に堪える。下だけではなく、胸への刺激も忘れてはいない。乳首の先を優しく潰したり、または人差し指と中指で乳首をつまんで 
ひっぱったりひねったり、または手のひら全体で撫で回したりと。 

「やああっ、そんなとこ、ああっ、変な触りかたし、あ、うん、しない、ん、で……」 
「だったら…こうだったらいいんですか?」 

クリトリスと膣口を探し当てると、親指で肉芽を押し潰し、人差し指と中指を一気に根元まで中に突きこんだ。 

「ふぁぁぁあああああ!!」 

私は弓なりになって叫び声をあげる。頭の中が真っ白になり、閃光がチカチカと弾けた。絶頂へと導かれた私の体は、指一本動かす 
事ができず坊やの薄い胸板に全ての体重を預ける格好となった。坊やはニコニコ笑いながら私の髪を梳いている。絶頂を迎える快感とは 
また違う快感が体を包み込み、荒かった息も整いをみせる。すると、ゆっくりと眠気が襲ってきて私の重い目蓋はじょじょに閉じてくる。 

  
  ――・・・みなさい。 

最後にそんな優しい声を聞いたような気がする…。 



激しい絶頂の末疲れて寝てしまった。普段はこんな事で寝てしまったりはしないのだが…。 
カーテンの隙間から覗く太陽の光が目蓋をノックし、眩しさのあまり目を覚ましたのだ。 
そして、裸のまま坊やと抱き合ってる事に気付き顔を赤くした。当の本人は私が起きた事に気付いて気をよくしたのか、退屈そうな顔から 
一変して嬉しそうなニコニコ顔へと早変わりした。笑顔のまま私は頭を上げられ、坊やの白い左腕が頭の下に敷かれた。俗に言う「腕枕」 
開いてる右腕は自分の頭の下に敷いたようだ。 

 ―――…ぼ、僕は…ずっと一緒にいたい…です。たとえ、僕が先に死んでしまって、エヴァさんを悲しませる事になっても 


ふいに、過去の坊やのセリフがフラッシュバックした。あの時の坊やの顔、声、仕種、何もかもが鮮明に…。目頭が熱くなる。 

「…ねぇ、エヴァさん。」 

一筋の涙が頬を伝った時に、坊やが声をかけた。私は泣いている理由もわからず泣いていた。泣き顔を見られたくなかったので、坊やとは 
反対の方を向いて「何だ。」っと短く返事をした。 

「……雪が溶けたら、何になると…思いますか?」 

突如、訳の分からない質問をされ、思わず「はぁ?」っとしかめっ面で坊やの顔を見た。見た時には私自身、坊やの顔に魅入られる程である。 
見た者全てに安らぎを与えるような、穏やかな微笑みで見られていたのだ。3秒程坊やの顔を見つめたのち、ハッと我に返った。 

「そ!そ、そんなもん…水になるに、決まっとるだろうが…」 

顔を目一杯赤らめ再び坊やとは反対の方向を向く。すると坊やからは「違いますよ。」っと声がした。とうとう私は混乱の渦に巻き込まれる。 


 ―…春になります―― 

「…春。」 
「そうです…春になって、土から目が出て…実がなって、花が咲いて…。暖かい春になります」 

坊やは雪が降り始めている窓の外を見ながら、確認は取れないがおそらくさきほどの穏やかな顔で語り始めている。 
そう、雪が溶ければ春になる。坊やは私を振り向かせ、小さな狭い胸に顔を押し付け、また語りを続けた。 

「僕はずっと、エヴァさんの傍にいますよ…。例えエヴァさんの心に雪が積もろうとも…春になるんです。…僕、薄々分かってたんです。 
 エヴァさんが僕を僕のお父さんと重ねてるんじゃないかって……」 

ドクンッ 

心臓がこれでもかと言うぐらい跳ね上がった。坊やのひとつひとつの言葉が紛れもない事実という刃となって、心に突き刺さった。 
胸に顔をうずめているため、表情は確認できないが恐らく暗く沈んでることだろう。確かに最初は、坊やとサウザントマスターを 
重ね合わせていた…。坊やを一人の男して見た事はなかったのだ…いつだってアイツと比べ、重ね合わせていた。 

「……僕、待ちますから。エヴァさんの心に父さんという雪が積もっているなら、溶けるまで待ちますから…春という僕を見つけて下さい」 
「坊や…私はっ!」 

バッと無理矢理胸から顔をひきはがす。…私は絶句した。坊やは目尻に大粒の涙をため、下唇をかみしめて必死に涙が流れるのを 
ガマンしていた。硬直している私の腕を解くと、涙を拭いながらベッドから降りた。多大な覚悟で胸の内を打ち明けたであろう坊やの顔は、 
いつものキリッとしたひきしまった顔ではなく世界中の全ての不幸を背負ったかのような、沈んだ表情をしていた。 

 ――そうさせたのは私…。だが、何て言えばいい?さっき私は何を言うつもりだった…?分からない…あっ、坊や行くな。行かないで… 

ガチャッ… 

服を着替え終えた坊やは部屋を出ようとドアを開けた。一歩踏み出した所でピタリと停止し、ゆっくりと私の顔を見た。 


 「僕…待ってますから…」 

ニコッと元気の無い笑顔を向けてくれた。その顔で私の胸は締め付けられ、シーツを力一杯握り締めた。バタンっと坊やが出て行き、 
ドアの閉まる音が耳に残った。ダムが決壊したかのよに、私の目からは大量の涙が頬を伝う…。 
私は静かに涙を流す。 
   
  ――静かに 

    ―――…静かに 
   
       ――……静かに 


「はぁ…。どうしたものかな…」 
「どうかしましたか?マスター」 
「…何でも無いさ。」 

私は今、寮の大浴場へ来ている。特に理由も無い。なんとなくだ。茶々丸にもハカセが卒業するまえに耐水プログラムを付けてもらった。 
周りにはクラスメイト達がキャアキャアと耳障りな声ではしゃぎまくってる。 
どこからあんなに次から次へと話題が出てくるのかが不思議だ…。黙って風呂に入れんのか…。 

「でさぁ!うちの彼氏マヂむかつく!」 
「何よ、またぁ?」 
「だってさぁ、聞いてよ!」 

ふん。ガキが。いっちょまえに色気づきよって…。何が彼氏だ。別れては次、別れては次と男を入れ替えて何が楽しいんだ。 

「『一生お前を愛する』だの『ずっと一緒にいたい』だの言っといて結局は浮気だよ?マヂむかつく!」 

 「私を一生愛せる自信があるのか?」 
 「はい。もちろんです」 
 「私と一生一緒にいたいのか?」 
 「はい。」 
  


ハハハッ…まさかなっ。私は3年前の坊やの言葉を思い出して、引きつった笑いしかできなかった。茶々丸も不思議そうな顔をしていたが 
特に何も聞いてこなかった。私は短い入浴を終え、大浴場を後にした。 

「チッ…今日の風呂は胸くそ悪い。胸がモヤモヤする…。」 
「もう一度つかり直しますか?」 
「いらん!」 

私は早足で家へ戻る。私の早足は茶々丸にとって普段の歩くスピードらしいが…。さきほどのクラスメートの会話が何度も頭の中で 
リピートしている。頭から離れない。さっきから様子のおかしい私を見て、茶々丸は再度聞きなおした。 

「マスター?今日はほんとにどうなされたのですか?」 
「な、何でも無いと言って……!」 

しつこい茶々丸にイライラし、怒鳴りつけようと後ろを向いた瞬間私は見てはいけないものを見た気がした。後ろを向いた時、遥か 
向こうで坊やと女子生徒らしき人物が抱き合っているシルエットが見えた。私は一瞬まばたきするのも忘れ、その様子を凝視していた。 
自分では無意識だったが、一歩づつ坊や達に近づいていってたのだ。 

「あっ…」 

坊やが私に気付き、短く言葉を発した。抱きついてる女も私に気付いたが不思議そうな顔で見下ろしている。私と坊や達との距離は 
5mもない。茶々丸は無表情で坊やと女を見ている。坊やはオロオロしながら慎重に言葉を選んでいるようだ。 


「…はっ…」 

私はなぜだか分からないが…笑った。口元を一瞬吊り上げて短く笑った。それは自分でも分からない。何がおかしかったのだろう。 
女は坊やに「誰?」っと聞いている。坊やは返答に困っているようだ。そりゃそうだ。生徒と付き合ってるだなんて口が裂けても言えんだろう。 

「…仲良くしろよ。」 

私は短く吐き捨てると踵を返し、さっきよりも早足で家路へ付く。坊やが「待って下さい!」と叫んでいたが、待つはずがなかった。 
私は一度も振り返る事も無く、家へ入り早めに寝た。…その5分後、坊やが来たが茶々丸に家へ入れさせるなと命じたので、坊やは私の家へ 
入る事なく自分の家へ戻った。…話ぐらい聞いてやればよかったか…。 

  ポツ…ポツ……―――― 

深夜3時。私は木の葉に当たる雨の音で目が覚めた。窓の外を見てみると小粒の雨がパラパラと降り出している。私は溜息をつき布団から出た 
もう一度窓の外を何気に見ると、木の下に何か人らしきものがうずくまっている。私は不審に思い、窓に近づき人らしきものを目をこらして見てみた。 
何とその人らしきものは坊やだった。木の根にちょこんと座り、膝をかかえてガタガタと震えていたのだ。私はカサを取り出し、慌てて坊やの所へ走った 

「……エヴァさん。」 
「ハァハァ…何を、している…こんな所で…」 


坊やはカチカチと歯を鳴らしながら私の顔を見上げた。唇は真っ青になっていて顔も蒼白かった。そんな坊やを見て怒りなど雨に流されてしまったような 
錯覚に陥る。…きっとさっきの言い訳でもしに私が起きるまで待っていたのだろう。……バカだ…ただのバカだよ坊や… 

「で…どうしたんだ?こんな雨の中、傘もささないで…。」 

私は傘をたたんで膝をかかえてうずくまっている坊やに優しく問いかけながらギュッと抱きしめた。 
抱きしめたと言っても私の小さな体では限界があるゆえ、坊やの濡れた頭を胸元に引き寄せ両腕で抱きしめたという言葉が妥当だろう。 

「…違う…んです。あれは…」 
「うん。分かった…何があったか、話してみろ…」 

ゆっくりと話を始めた坊やの髪をゆっくり撫でながら静かに話しを聞いてやる。いつの間にか私の膝に坊やが頭を乗せている格好になっている。 

「…僕、生徒に告白…されて…。それで、断ったのに諦めて…くれなく、て…。」 
「うん…。」 
「そしたら…一度だけ抱きしめてくれたら諦める…って、言われて…。それも断ったのに…。」 
「うん……。」 
「何度も何度も断ったんです……。何度も…何度も…うぅっ…」 


坊やは嗚咽を洩らしながら涙を流した。その涙を拭う素振りも見せず、話を続けた。 

「何度も断ったのに…諦めて、くれなかったんです…。何度も…」 
「それで…どうなったんだ…?」 
「…そしたら、いきなり抱き付かれて…うっく…」 
「……。」 
「……キス、されました…」 
「……。」 

私は言葉を発しなかった。いや、発せ無かった。何を言えばいい?こんな時、何と言えばよいのだ。ガタガタと捨てられた子犬のように 
震えている坊やに、何と言えばいい?「坊やは悪く無い」とか「男のくせに泣くな」とか…そんな言葉を言えばよいのか…? 

「…エヴァ」 
「なっ…」 

ふいに名前を呼ばれ、反射的に坊やの顔を見た。坊やは後頭部を私の膝の上に乗せ、真上を向いて私の目を見ていた。 
さっきまでの子犬のような怯えた目では無く、いつものしっかりとした目に戻っている。……そういえば雨も止んだようだな。 

「ありがとう…。」 


なぜ、礼を言われたのか分からない…。ただ、坊やのいつもの笑顔が見れた事で私はそんな疑問さえ吹き飛ばされてしまった。 
雨の寒さで白くなった私の頬を大きな手がそっと包みこみ、壊れものを扱うように優しく撫でる。坊やはゆっくり起き上がり、頬に手を 
添えたままゆっくりと唇を重ねていく。私はトロンとした目を閉じ、口の中に流れこんでくる坊やの唾液をコクコクと飲み込む。 
坊やも首の角度をより斜めにし、奥へ奥へと進んでくる。私も坊やの首に腕を回し、固定した。 
坊やの舌が私の口の中で暴れている…っと思ったらキスは唐突に中断され、二人の口の間に銀の橋をかけて顔を離していく。 

「…続きは今から、部屋の中で……。いいですか…?」 
「……う、うん…」 

抱き寄せられて耳元で囁かれ私の顔は白から一気に赤く染まってしまった。囁いた内容も原因だと思うが…。ちっ、生娘じゃあるまいし、 
その程度で頬を赤らめるとは…不覚…。坊やはヒョイっと軽々私を持ち上げて立ち上がった。私の傘を掴んで家へと入っていく。 
私の部屋へ入るなりいきなり服を脱ぎ出した。雨を多く吸って重くなった服は、ビチャッ!と盛大に水しぶきを上げて大きな音で床に落ちた。 

「…先に風呂でも入ってきたらどうだ?冷えた体も暖まるだろ。」 
「そんな時間ありませんよ。それに…」 

坊やは全裸になって私をベットに押し倒した。耳をペロっと一舐めされ、ビクッと体が震えた。 

「それに…体なら今から暖まるでしょう…?」 



ネギは静かに言い、エヴァの首筋に顔を埋めた。 

「アゥ…」 

エヴァが眉をひそめてもがいた。 
雨に濡れたための体臭かそれでいて少女独特の甘い臭いではなく、香水ような大人な女の香りがした。 
ネギは、生ぬるく甘ったるい匂いを感じて勃起してきた。 
そして屈み込み、エヴァの柔らかな長い金色の髪に顔を押しつけた。 

香水の臭い意外にもまだほんのりと雨の匂いが混じっている。 
ネギはエヴァの顔を固定し、冷たい耳朶に唇を当て、パジャマの胸に手のひらを這わせた。 

「アウウッ…!」 

エヴァが激しくもがいた。 
ネギがキュッとエヴァの耳朶に噛みついてやると、エヴァはビクッとして全身を硬直させた。 
パジャマの上からでも、幼い少女の中性的な体のラインははっきりと解った。 
ネギは、エヴァの頬をいやらしく舐めた。 

ネギは顔を上げ、エヴァのパジャマの胸をたくし上げはじめた。 
汗ばんだ下着もついでにそれもまくり上げると、ようやく赤ん坊のようにスベスベした白い肌が現われた。 
まだふくらむ前の幼い乳房が露になる。 
白い肌にうっすらと静脈が透け、肌色が少しピンクがかったの乳首は恥ずかしげに縮こまっていた。 

そして肌そのものが、ほのかに甘い匂いを漂わせているようだった。 
ネギは思わず片方の脹らみに、ギュッと顔を埋め込んだ。 

「ウッ・・・」 

エヴァが呻き、ビクッと肌が波打った。 
ネギは舌先で幼い乳首を探り、夢中でころがした。 
くすぐったさに、エヴァが断続的にピクン、ピクンと身体を震わせた。 
ネギはもう片方も含み、強く吸ったり唇に挟んで引っ張ったりする。 
肌に潜り込むように縮こまっていた乳首が、次第に唾液にヌメッて少しだけ硬くなってきた。 

真っ白な透き通るような躰がますます紅く染まっていた。 

「あッ・・・」 

だんだんと敏感になってくる幼い乳首にネギのザラザラとした舌がいやらしく触れた。 
そしてだんだんとエヴァの躰の反応がよくなっていった。 

「それじゃぁ下も脱がします…」 

ネギは顔を起こし、いよいよエヴァのパジャマのズボンを卸し始めていった。 
ネギはズボンを脱がし終えると、黒のレースが付いたのパンティに指をかけた。 
脱がせるのは案外スムーズだった。 

やがて、とうとうパンティがズルズルと下ろされた。 
ネギは興奮を押し殺しながら、閉じられているエヴァの両膝にグイグイと顔を潜り込ませていった。 

「ア・・・、アアッ・・・!」 

エヴァが顔を左右に振りたてて狂わんばかりに喘ぎ、必死に脚をバタつかせた。 
ネギは足を曲げ、大きく両膝を開かせる。 
ネギはベットに膝を突き、股間に完全に潜り込んだ。 
部屋の月明かりの下で、エヴァの秘部が余すところなく丸見えになった。 
滑らかな下腹部の肌から股間の谷間にかけて、ぷっくりと恥骨の脹らみが見えた。 
そして谷間にはまだ肉厚の肉溝があった。 

ネギは指を当てて、その肉溝を左右に拡げてみた。 

「くっ…!」 

エヴァが呻き、ビクッと下腹が上下した。 
小陰唇は初々しく、シワひとつなくツヤツヤとしていた。 
そしてゴムのような強い弾力があり、少しでも指をゆるめるとピタッと閉じてしまいそうだった。 
ネギは何度か指を当て直して、深くムッチリと拡げた。 
下の方のいちばん深いところに、ヒクヒクと息づく膣口が見えた。 

ネギは近々と顔を寄せて幼女と成熟した女性との違いを観察した。 

やがてネギは、エヴァの花びらにそっと唇を押し当てた。 

「ウッ!・・・」 

エヴァがピクンと反応し、再び男の顔を内腿で挟みつけてきた。 
陰唇の内側の、ちょっぴり湿りけのある粘膜がチュッとネギの唇に吸いついてきた。 
やがてネギは舌をのばしてワレメの内側をペロリと舐め上げた。 
膣口のまわりはほんのり湿ってしょっぱいような味がした。 

「ふあああぁぁぁあ!!」 

そして舌先がその上にある幼い肉芽に触れると、エヴァの身体に電撃が走ったようにビクッと腰が跳ね上がった。 
次第にネギも、ゆっくり味わうという感じではなくなり、激しくワレメを舐めはじめた。 
幼肉のかぶった肉芽を舌で丹念に剥きだし音をたてて吸ってやった。 

「ウゥン…!」 

エヴァは激しく呼吸を乱し、グネグネともがきながら喉の奥から声を洩らし続けた。 
さらにネギはエヴァの腰を持ち上げ、両の親指でムッチリと谷間を開いて、ぽつんと閉じられた可憐なアヌスにも、チロチロと舌を這わせてやった。 
アヌスはキュッとつぼまった可憐なツボミだが、ワレメとはまた違った生々しい匂いをちょっぴり籠もらせていた。 
秘めやかな匂いと感触のするアヌスを舐め続けた。 
アヌスを舐めていると、すぐ眼の前では、唾液にヌメッたワレメがヒクヒクと悩ましげな収縮を繰り返しているのが見えた。 
明りにキラキラと輝くのは、自分の唾液だけだろうか。 
クリトリスもさっきより色づいて、包皮を押し上げるようにつんと突き立ってきているような気がする。 

やがてネギはアヌスから、再びワレメへと舌を戻した。 
舐め上げると、ヌルッと舌先が滑るような感触があった。味も、うっすらとしょっぱいものから、ちょっぴり酸味が混じりはじめたように思える。 
ネギはエヴァの幼いワレメの内側を舐め続け、ようやく彼女の脚の間から這いだしてきた。 
ネギは自分もズボンと下着を脱ぎはじめる。やがて、今にも暴発しそうな肉棒が飛びだした。 
それは猛々しく青筋を立てていた。 

エヴァの紅潮した頬に、男は亀頭を押し当て、尿道口から滲む粘液をヌルヌルとこすりつけてやった。 
敏感になった肉棒にエヴァの震える息がかかり、ネギは今にも射精しそうになった。 
そしてネギはエヴァの下半身に廻り、両足を抱えて開かせ、その間に腰を割り込ませていった。 
だんだんと息が上がり心のボルテージが上がる。 
ネギは、ユラユラと視線が揺れるほどの緊張にめまいを起こしそうになり、なんだか夢の中にいるような気分になった。 

そして肉棒に手を添え、何度か亀頭をワレメにこすりつけながら入口を探った。 
ネギはグイッと腰を突きだした。 

「クッ・・・!」 

いきなりいままで舐めれていた所に何かが押し込まれる感触があった。 
エヴァがビクッとして腰を引いた。肉棒はワレメの表面をヌルッと滑っただけだった。 

ネギは焦った。 

興奮が高まってヌルヌルするワレメの感触に触れただけで、すぐに発射してしまいそうになっている。 
もう一度ワレメにあてがい、見当をつけて押し込んだ。 しかし、エヴァがもがくだけで、一向に入らなかった。 
ネギは歯を食いしばり、エヴァの腰を抱えて浮かせ、肉棒を押すのでなく、エヴァの股間を力強く引き寄せた。 

「グッ!」 

エヴァのワレメが広がり膣口に少し刺さった。 
その瞬間エヴァの目が見開いた。 

「すごい…締め付けです…」 

ネギは少女の身体のことを気遣うことなく己の欲望のためなおも少女の腰をゆっくりと引き寄せる。 
亀頭が熱い肉の中に潜り込んだ。 

「ア゛ウ゛ウ゛ッ・・・!」 

激痛と快感の狭間に、エヴァの身体が弓なりに反り返った。 
手の力だけでは無理と察したネギはこんどは自らの体重も利用していた。 
ネギは構わず、そのまま肉棒の角度を定めてズブズブと腰を沈み込ませていった。 
エヴァの目は焦点が一点になり見開いて瞬きもしなくなった。 

一旦いままでより強い抵抗が肉棒の先端に感じた。 
ネギは不思議に思いエヴァとの結合部を見てみた。 まだ頭の半分くらいしか埋まってなかった。 

「まだ入りますね…」 

ネギは一旦少し腰を引いてからまた体重をかけて押し込んだ。 


「グフッ!!」 

エヴァの鼻腔から悲鳴が漏れた。その瞬間ネギの肉棒がまたゆっくりと埋没していった。 
ネギは出来る限りまで押し込んだ。それでも肉棒の2/3しか埋まらなかった。 
だがそれがこの少女の限界であることを悟った。 
激痛に顔を歪めるエヴァに身体を重ねた。 
そしていくらも動かぬうち、たちまち昇りつめてしまったのである。 

「く・・・!」 

ネギは快感を噛みしめ、低く呻きながらドクンドクンと射精した。 
エヴァは息も絶え絶えに小刻みに体を震わせているだけであった。 
本当は、もっとゆっくり快感や感触を味わいたかったのだが、あまりのエヴァの狭肉の心地よさに、止める間もなく絶頂に達してしまった。 
しばしグッタリとエヴァに身体を重ねていたネギは、彼女の首筋に顔を埋め、甘い髪の香りを嗅ぎながら快感の余韻に浸った。 

幼い幼胸は苦しげな息づかいをして小刻みに起伏させていた。 
そして、ようやくネギがノロノロと身体を起こし、萎えかけた肉棒をヌルヌルと引き抜くと、グッタリしていたエヴァが眉間にシワを寄せて身悶えた。 

「ウウ…」 


傷ついた膣粘膜がこすられ、また痛みが衝き上がってきたのだろう。 
肉棒を引き抜き、ネギはティッシュを探した。 
そして机の上にあったティッシュの箱を取り、肉棒を拭いてからエヴァの股間に屈み込んだ。 
エヴァはもう、脚を閉じる元気もなく四肢を投げだしていた。 
先ほどまで肉厚の溝は熱を持ったようにぽってりと充血し、痛々しくめくれ上がったまま、逆流するザーメンにトロトロと彩られていた。 

萎えていた肉棒が再び回復している。 
いままで味わったことのないきつい締め付け感と熱い体内の感触に酔っていた。 ネギはベットの端に座る。 
そして気力のないエヴァの躰を軽々と持ち上げ自分の腰にまたがらせる格好にした。 
お互い向かい合った形になった。 
ネギは再度肉棒をエヴァの幼膣にあてがって結合させた。 


「ぐぅッ!」 

さすがに抵抗感があったがさっきよりも簡単に二人の躰が一緒になった。 
ベットの弾力も借りて今度はエヴァの躰を上下させピストン運動を行った。 

「アグッ!…グゥ…!」 

エヴァの躰が揺れるたび苦しげな嗚咽が漏れていた。 
さっきよりも保ったと思うがやがてすぐに再びネギは射精した。 

「ア……ア…」 

エヴァは声を漏らし繰り返すだけだった。 





「すすすすみませぇん!!」 
「こ、殺す気か!バカモノ!」 

朝の7時から騒がしい声が森中に響き渡っていた。騒がしい原因はどうやらこの森の家に住んでいるエヴァと、麻帆良学園の教師 
ネギスプリングフィールドだ。ネギはただひたすらエヴァに頭を下げ、許しを請うている。 

「幻術で大人の体にならなければ入らぬと、以前言ったろうが!」 
「はいぃ…。」 

細く綺麗に手入れのしてる眉毛をキリキリ吊り上げて怒り狂う。ネギはただ謝るしかなかった。 

「次したら命は無いものと思え。」 
「は、はいぃぃっ!!」 

仁王立ちで上から凄まじい迫力で睨みつけられ、ネギはぞわっと鳥肌の立つ嫌な感覚を感じながら身をちぢ込ませる。 
「あぁ〜腰が痛い…」とわざとらしくぼやきながらエヴァは部屋から出ていく。 
1人ぽつんと部屋に残されたネギは、しょんぼりしながら雨で湿った背広を片手に窓から出ていった。 




「おはようございまぁーす…。」 

ネギは教室のドアをガラッと開け、気の抜けたような挨拶をした。 

「先生どうしたの?顔にひっかかれたような跡あるけど」 
「えっ?…あ、あぁ!こ、これは…その、ネコですよ!ネコ!!今朝、ネコにひっかかれちゃって…」 
「大丈夫先生?ちゃんと消毒した?」 
「…ハハハ、大丈夫です…」 

心配してくれる生徒たちの優しさで、少しだけ…ほんの少しだけ元気を取り戻したネギ。 
乾いた笑いでしか返事ができなかったが、気持ちを切り替えて授業を始めた。 

 ―――キーンコーンカーン… 

授業の終わりを告げるチャイムが学園中に響いた。挨拶もそこそこに済ませ、生徒達は一斉に癒しを求めて教室から飛び出して行く。 
ネギもそんな風景を暖かい目で見守り、優しく微笑みながら職員室へ向かった。…授業にエヴァの姿はなかったが。 
やはりまだ怒っているんだろうか?―そんな事を考えながら、女子トイレの前を横切ろうとした時… 

「…レ、レイプゥ!?」 
「しーっ!声でかいよ!」 

―――えっ…レイプ、って……? 

ネギの歩みは自然にトイレの前で停止していた。自分のクラスの子の声だったからだ。ネギはドアと勢いよく開けようとノブに手をかけた。 

「先生に相談しに行こう!?」 
「…ダメッ!先生には言わないで!」 

  ――ピタ… 

ネギの行動が一瞬止まった。数秒後、ネギはノブにかけていた手を引っ込める。その手は硬く拳を作り、プルプルと震えていた。 
その生徒の気持ちも分かった。「レイプされた」なんて先生に相談したら、騒ぎが大きくなるのは目に見えている。 
その事を気にしているんだろう。…ネギは何もできない自分を腹立たしく思い、硬く握った拳を壁に叩き付けた。周りにいた生徒が 
何事かと思ってネギを見る。そんな視線はお構いなしに、ネギは拳の形にえぐれた壁を睨み続けた。 

 −エヴァ宅− 

エヴァの怒りはもう無いようだが、やはり何か気まずいものがある。しかもネギは『レイプ』という単語が頭の中をぐるぐるかけまわって 
気まずいなど言ってはいられなかった。エヴァはワインを口に運びながら、そんなネギを静かに見ている。 

「知っているか、坊や…。最近この辺りでレイプ事件が相次いでいるらしいな」 
「えっ!今なんて!?」 

今までの沈黙をとんでもない話題で破った。ネギにとって今1番気になっている単語、『レイプ』…。ネギは血相を変えてエヴァに 
詰め寄った。エヴァは表情1つ変えず、話を続ける。 

「主に中等部や高等部が被害に合っている。被害者の数は10人をきったそうだ。」 
「…じ、10人…ですか…」 

膨大な数にネギは息を呑む。その10人の中に自分の生徒が入っているのだ…そう考えると、必ず犯人を見つけて殺してやろうかという 
ネギらしくない考えすらよぎっている。 

「まぁ犯人の目星も大体ついているしな。もう被害者が出る事もないだろう」 
「は、犯人は誰なんですか!?」 
「………なぜ坊やに教えねばならんのだ?」 

エヴァ正論を述べてジロリとネギを睨む。確かに、責任者でもないただの教師のネギに事件の全貌をあかす義務は無い。 
ネギは一瞬押し黙ってしまったが、キリっとエヴァを見据えて言い放った。 

「…その事件に、僕の生徒が関係してるんです。だから、犯人をみつけて…」 
「みつけて?みつけてどうする気だ?」 
「―…それは…」 

  ――殺す…― 

そんな考えがふと頭をかすめる。ネギは慌ててそんな考えを振り払い、別の理由を探す。 

「その犯人を殺す勢いでもない限り、私は教えられん。」 

人の心が読めるのか?と思わせるほど、的確な言葉を浴びせられたネギは、意を決してエヴァに言う。 

「…僕は、殺したりしません…。そんなの違うと思います…。確かにその人は許せない事をしたかもしれないけど、でも…殺すなんて」 
「ならばおのずと事件が解決するのを待つんだな。」 
「そんなぁ…。僕は自分の手で犯人を見つけて…!」 

エヴァは飲み干したワイングラスをテーブルの上に置いて、足を組み直した。静かに目を閉じて何かを考えている。 
ネギはそんなエヴァを困惑と期待が入り混じった目で見つめ、ワインを一気に飲み干す。 

「…犬上小太郎だ。」 
「えっ…?」 
「今回のレイプ事件…主犯格は犬上小太郎と睨んでいる。ジジィもタカミチもしずなもな。」 
「………」 

ネギはエヴァの発した言葉がよく分からなかった。思考がストップしてしまったようだ。言葉を失ってしまっている。 

 ――イヌガミコタロウ?……僕の親友に、そんな名前の子がいたけど…ハハッ、まさか…小太郎君はそんな事する子じゃ… 


ネギは焦点の合っていない目でボーっと天井を見つめている。小太郎は今、ネギと同じぐらいの年になって大学部へと進学した。 
昔から女に興味など無い素振りをしていたが…演技だったとでもいうのか…?それとも幼い頃の反動で、急激に女に興味を示したとか… 
ネギはその優秀な頭の中でパンクしそうな程の自問自答が廻っている。小さく溜息を吐いたエヴァは虚ろな目のネギに問う。 

「で?犯人は分かったわけだが、どうするつもりだ?」 
「……分かり、ません…」 

エヴァの整った片方の眉がピクリと跳ねた。ショックが大きかったのか、ネギは夢遊病者のような目をして天井ではなく、床を見ていた。 

「殺すなり何なり勝手にするがいい。私はこの学園の警備を任されている身なんでな、事件はさっさと解決するに越したことはない。」 
「殺すだなんて……だって小太郎君は、僕の…僕の…」 
「自分の生徒が襲われたんだろう。もう少ししっかりしたらどうだ」 

ブツブツと小さい声で呟いてるネギに吐き捨てるようにエヴァは言う。ネギは「お邪魔しました…」とおぼつか無い足取りでエヴァ宅を 
後にした。エヴァはネギが出て行ったドアをみつめていた。いつまでも……。 


「…寒い。もうすぐ春なのに…」 

ネギは白い息を吐きながら暗くなった夜空を見上げた。今何時だろうか…。時間の感覚さえも奪っていかれたのか…。 
背広のポケットに手を突っ込んで寒い夜の道をブルブルと凍えながら歩いていった。寮の中に入ってしまえばもう寒くない。 
早く部屋に入って暖まろうと、小走りで寮の廊下を走っていると、ネギの部屋の前に何か人影が見えた。 

「あっ……君は…」 
「先生…。」 

ネギの部屋の前に佇んでいたのは、今日の昼にトイレで『レイプ』されたと友達に相談していた生徒だった。ネギは一気に心拍数が 
跳ね上がり、何て声をかければいいのか分からなかった。その子も気まずそうに目を伏せた。 

「と、とりあえず…寒いから部屋に…」 

ネギは勇気を出して生徒に話しかけたが、生徒に反応は無く無言がまた続いた。どうしようとネギが悩んでいる時に生徒は、ネギに 
抱きついてきた。ネギはびっくりして、両手を上にあげてバンザイの格好で固まってしまう。 

「せ…せんせぇ…グスッ」 

生徒はネギに抱きつき、悲痛な嗚咽を洩らす。ネギの停止してた思考は一気に復活し、全てを悟った。 
この子は覚悟を決めここで何時間も待ってくれてたんだ…。『レイプ』の事を話すために…。 

「先生、先生……私…」 

ネギは生徒を抱きしめながら辛そうに聞いた。 

「…乱暴……されたん、ですね…?」 

生徒の肩はビクッと一瞬反応したが、力無くコクリとうなずいた。ネギは愛する生徒のそんな姿に胸が 
つぶれそうな思いに駆られながら更に聞いた。 


「辛いかもしれないけど、大事なことだから、ちゃんと答えて下さい… レ、レイプされたんですね?」 

生徒は答えない、いや答えられなかった。だがネギの背中に回っていた生徒の手に 
力がこもり、嗚咽はひときわ大きくなり、かすれた声が微かにもれてきた。 

「ごめん… せ、先生… 私… 私…」 
「分かった、分かりました。今は何も言わなくていいんですよ…」 

もう一度ネギは愛する生徒をしっかと抱きしめた。 …小太郎君、僕は君を許さない。絶対に。 



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