イトミ


序章:前 

文化祭が差し迫る麻帆良学園。 
放課後の女子中等部の廊下を、二人の生徒が並んで歩いている。 
一人は西欧人らしく、金髪で背が低いのだが、歩く姿勢にはどこか超然とした様子が漂っている。 
もう片方は背が高くて、表情は氷の様に冷たく見え、もう一人の少女を少し後ろから護衛するように付いていた。 
金髪の少女の方は、名をエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。 
そしてもう一人の少女は、名を絡繰茶々丸という。 
「マスター」 
廊下を歩きつつ、後ろからエヴァの事を呼ぶ茶々丸。 
「なんだ?茶々丸」 
振り向きもせず、彼女の呼ぶのに答えるエヴァ。 
そんな彼女の様子を、特に気にかけるわけではなく、いつもの様に歩き続ける茶々丸。 
その様子には、長年連れ添ってきた二人ならではの余裕が見てとれた。 
「先日の改良の際、この手紙を葉加瀬から預かっています」 
彼女は懐から封筒に入った一通の手紙を出し、エヴァに渡す。 
「……何の手紙だ?こりゃ」 
「申し訳御座いません。内容について葉加瀬からの情報は無く、ただ『マスターに渡せ』としか伺っておりません」 
「ふ〜ん……」 
その手紙の封を、訝しがりながらも切るエヴァ。 
中には、B5のレポート用紙が縦に四回折って入れてあった。 
その手紙を、封筒から出して開く。 
最初はチンプンカンプンといった様な顔をしていたが、読み進めるにつれて、エヴァの顔には徐々に笑みが浮かんできた。 
「フ……フフッ……なかなかに粋な事をしてくれるじゃないか……」 
そう言うと、エヴァは手紙を読みつつ、口の笑みは消さずに問うた。 
「おい、茶々丸。今回お前はどんな改良手術を受けたのかを認識してるのか?」 
エヴァの問いに、心底申し訳無さそうする茶々丸。 
その様子には、真実の忠誠が見られた。 
それもその筈、茶々丸は魔法使いであるエヴァと主従の契約を交わしているからである。 
彼女が、主人の問いに答える。 
「申し訳御座いません、マスター。実は、先日の改良手術はいつもとは違い、珍しく内部電源を落とされたまま行われたので、終わった際に内容を尋ねたのですが、葉加瀬にはぐらかされてしまって把握をしていないのです」 



手紙を読み終わったのか、エヴァは茶々丸の方に振り向き、さも当然といったような表情で彼女を見、告げた。 
「まあ……今回の結果に関してはお前は知らない方が面白いな。安心しろ、従者としての性能は落ちていないらしいから……フフッ」 
意味深な笑みを浮かべ、エヴァは言葉を切った。 
茶々丸は、流石に改良結果については気にしていたらしいが、どうやら《従者としての性能が落ちてない》と知って安心したのか、表情が少し和らいでいた。 
しかし、どうしても結果が気になっていたのか、エヴァに尋ねた。 
「マスター、あの……」 
「ん〜?」 
「その手紙には、具体的に結果について明言されているのでしょうか?」 
茶々丸の問いに、エヴァは封筒に手紙をしまいながら答える。 
「ああ、書いてあるよ……まあ、家に着いたら教えてやるよ。それまで楽しみにしてるといい」 
「はい、マスター」 
どうやら、結果を知る事ができるとわかった茶々丸は、素直に主人の後ろに付いて行く事にした。 
主人の言う事は絶対である。 
従者である茶々丸は、命令通り楽しみに待つ事にした。 
二人は学園を後にした。 


序章:後 

二人は家に到着した。 
すると、エヴァが茶々丸に向かって告げる。 
「じゃあ、結果を教えてやるが、その前に制服の上を脱げ」 
「はい、マスター」 
結果を早く聞きたい茶々丸は、一心に服を脱いだ。 
服を脱ぐと、茶々丸のメカニカルな上半身が露になる。 
すると、おもむろにエヴァは彼女の胸部の突端、人間でいう乳首にあたる部分をつついた。 
その瞬間、今まで感じた事の無い、未知の感覚が彼女を襲った。 
「ひゃっ……!!な、な……マ、マスター……これは、い、一体?」 
「フフッ……これが《結果》だよ、茶々丸」 
笑いながら答えるエヴァ。 
そんな彼女に、更に質問を重ねる茶々丸。 
その声色には明らかに動揺が混じっていた。 
「お、お聞きします、マスター。あの手紙には何と書いてあったのですか」 
その問いに答える様に、手紙を懐から出して見せるエヴァ。 
「聞きたいか?」 
「はい、マスター、要請します」 
手紙を開き、読み出すエヴァ。 
序章:後 

「いいか、よく聞けよ。え〜と…… 
《今回の改良について》 
改良点@:子宮と腟にあたる部分を増設しました。刺激があった場合に感覚神経に伝達する回路も増設しました。茶々丸は快感を得る事になります。これが一つ目です。 
改良点A:タンクを増設しました。中に2L程の微粘性の液体が入っております。これは偽子宮へと繋がっています。また、回路が感覚神経から繋がっています。 
プロセスを簡単にすると、 
@:偽子宮への刺激 
A:感覚神経への信号伝達 
B:感覚神経からタンクへの信号伝達 
C:愛液分泌となります。下半身はこれが全てです。 
次に上半身ですが、改良点は一つです。 
プロセス@の【偽子宮への刺激】 
これが【胸部先端部への強い刺激】となるだけです。 
二つの回路は独立しています。同時に刺激をすると、相乗効果で快感を何倍にもできます。 
また、ボディの触覚を鋭敏化。 
強い刺激を快感へと昇華させます。 
従い、舌で舐める等の行為も快感として信号を流します。 
以上が結果です。葉加瀬』 
だそうだ、茶々丸」 


茶々丸は混乱していた。 
それもその筈で、こんな仕様は頼んでもいないのだ。 
それを勝手に付けられた上に、新たな感覚まで植え付けられてしまった。 
憤慨し、茶々丸が葉加瀬に抗議をしに行こうとすると、エヴァが止めた。 
「まあいいじゃないか、ご愛嬌だろ」 
「で、ですが……」 
頑なに譲らない茶々丸。 
そんな態度に業を煮やしたエヴァは、少し苛立ちを込めた声で命令を下した。 
「……服を全部脱いで、ベッドに横になってみろ茶々丸」 
「……はい」 
主人の言葉は絶対である。 
茶々丸が、素直に服を脱ぎ、下着も外してベッドに横たわると、エヴァは茶々丸に告げた。 
「……お前がその機能を外して欲しく無くなるまで責めてやるよ、茶々丸……」 
そして魔法を唱えて、茶々丸の動きを束縛した。 
「!!マスター!?」 
口元に冷たい笑みを浮かべ、《闇の福音》の名に相応しい冷酷な声で、彼女に向かって言う。 
「……フフッ、さぁて、私の責めは辛いぞ。どこまで耐えられるかな……」 

そして、エヴァは茶々丸の上に四つん這いで跨がり、その指を彼女に向けて近付けていった…… 

魔法によって身動きの出来ない茶々丸に、エヴァの指が近付く。 
手始めとばかりに、右手で緩急をつけて首筋を撫でる。 
茶々丸は、体を反応させつつも、その刺激に耐える。 
彼女にとって、快感は初めて味わうモノであり、それ故に耐え難い激感だった。 
しかし、その感覚に声を漏らさない様に必死に唇を噛む彼女に、愛らしさを感じたエヴァは撫でる右手の動きをくすぐる様な動きへと変えた。 
変化はすぐに現れた。 
「…ッ!!ふ……ぅぅっ……か……はぁん……」 
くすぐりの刺激にどうしても耐えられなくなったのか、喘ぎ声をあげてしまう茶々丸。 
それを聞き逃す様なエヴァでは無かった。 
「ん〜?どうしたんだ、茶々丸。まだまだ始まったばかりだぞ。この程度でここまで感じてたんじゃあ、先が大変だぞ?」 
エヴァ曰く『この程度』でも耐えられなくなった茶々丸に、その言葉は死刑宣告……否、解体宣告だった。 
しかし、この責めから逃れようにも、エヴァの魔法による枷がそれを妨げる。 
体を揺するくらいなら出来るのだが、真祖の魔法が制限された動きで逃れられる様な枷の訳が無い。 
よって、茶々丸は快感をもらい続けるしか無いのである。 
「ちょっと成果を確認……と」 
そう言うとエヴァは、改良によって茶々丸に増設された秘裂に、空いた左手を伸ばし、触れた。 
つんっ、とエヴァが触れただけで、茶々丸は今までとは比べ物にならないくらいの快感を感じ、軽い絶頂を迎えてしまった。 
「ひッ!!あああぁぁっ!!」 
当のエヴァ本人は、ただ濡れているかを確認する目的で、軽く触れただけなのに、ここまで大きく喘がれた事に驚いていた。 
「ち、茶々丸、お、お、驚かせるんじゃない!!全く……ん?」 
しかし、触れた指先が明らかに濡れている事を確認すると、ニヤリと笑みを浮かべる。 
そして、その左手を茶々丸の眼前に晒す。 
一方、軽くイッてしまった茶々丸は、ピントが合って無いような虚ろな目で呼吸も荒く、その左手を見つめていた。 
「ほら、見てみろよ茶々丸。私の指先を……」 
「マス……ター、その液体は……?」 
「フフッ……わからんのか?茶々丸。これがお前の『愛液』だよ」 
「愛……液……?」 



その言葉を聞いた茶々丸は、即座にシステムに検索をかける。 
そして、検索結果を得ると共に、体内温度の上昇を感じた。 
彼女は、自分がその様な所謂感情の産物を排出している事が信じられなかった。 
「そ……んな……」 
「事実だよ、茶々丸。お前から出て来たんだよ、この液体は」 
「ち……違います……マスター……私はその様にできていま……」 
「違うモノか、茶々丸。これが、何よりの証左だろ?」 
必死に否定をする茶々丸を遮り、エヴァは濡れている左手指先を、ワザとゆっくり羞恥心を煽る様にして舐める。 
そして、彼女に言う。 
「お前が濡れるのは、今までだったら有り得なかったよ。今までならな……、しかし、今は葉加瀬によって改良された身だろ?さっきの手紙を忘れた訳じゃあるまい?」 
手紙の内容を一言一句逃さず記憶していた茶々丸は、メモリーからその内容を呼び出し、確認をする。 
そして、自分が完璧に作り変えられた事を認識すると、頬をレンズ洗浄液が流れるのを感じた。 
泣いてしまった茶々丸に、無慈悲にも、エヴァは追い討ちをかける。 
「おい、泣いた所でこの責めが終わる訳じゃ無いんだからな。終わるのは、あくまでお前がこの快楽を受け入れて、『この機能を外さないでくれ』と哀願した時だ……」 
いくら『闇の福音』と言っても、従者の涙には少しは動揺を見せるだろうと思っていた茶々丸は驚愕した。 


しかし、エヴァは内心では焦りっ放しだった。 
型式は違えど、長年連れ添ったパートナーなのだ。泣かれては焦らぬ道理などは無い。 
彼女は心を鬼にして、茶々丸を突き放したのだった。 
当然、理由はある。 
エヴァは、茶々丸に『人間』を教えたかった。 
もちろんエヴァは人間では無く、吸血鬼だ。しかし、こと快楽において、そのボーダーは無くなる。 
そういう意味での『人間』を、彼女に教えたかったのだ。 
エヴァは、それが自分がする事のできる精一杯の優しさだと思っていた。 
だからこその、あの言葉だったのだ。 
「続けるぞ……」 
「や、やめ……マスター……もう……やめ、て……ひっぐ……下さい……」 
泣きじゃくりながら哀願する茶々丸を無視し、エヴァは両手を胸部に置いた。 
そして彼女の、少し温度が上昇し、人間の微熱くらいの熱を放つ、鮮やかな半楕円を描く白色の双膨を優しく撫でた。 
「んっ……はぁぁ……く……ふぅぅ……」 
「どうだ?気持ちいいだろう」 
茶々丸は、主人の先程の口調とはうってかわった様な責めに、秘所が濡れる感覚を初めて感じた。 
確かに、こんなに気持ちいい事なら、この機能もいいモノだ、とも思い始めていた。 



「んふぅ……はっ……あぁっ……イ……イ……です……マ……スタ……ぁ……」 
エヴァの暖かく小さな手に、緩急をつけられながら胸を撫で続けられ、茶々丸の秘所は蛇口を捻った様に濡れていた。 
その愛液は、主人のベッドに敷かれている布団に染み込み、色を濃くしていた。 
そんな折、エヴァの遊び心が発現した。 
「ちょっと、やばいかも知れないぞ。我慢しろよ?」 
「え……?」 
いきなり主人の放った言葉の意味が分からず、呆気にとられる茶々丸の胸部に、エヴァは顔を近付けた。 
そしてその口を開き、小さな舌を出し、左胸部先端をチロチロと舐めた。 
「ひぅッ!!やめ……て……下さ……いィ……」 
「ろうら?ひゃひゃわう?(どうだ?茶々丸?)」 
「は……いッ……マ……スタ……ぁッ……いッ……ぃぃ……です……ぅ……」 
触覚が敏感になった茶々丸は、主人の小さな舌のザラつきを克明に感じとり、快楽へと昇華させた。 
それと共に布団の染みが、また広がった。 
「ほうは、ほうは、おいふぁよあっはあ(そうか、そうか、そいつぁ良かったな)」 
そう言葉を告げると、舌で舐めるのを止める。 


「マ……スター……も、もっ……と……く……ださ……い」 
名残惜しいのか、その肢体を揺すり、快感を得ようとする茶々丸。 
エヴァは、魔法で強制的に開かせた彼女の両脚の間に移動し、そこにチョコンと座った。 
「まあ、そう焦るなよ茶々丸。すぐにあれ以上気持ち良くしてやるから……」 
そう告げると、茶々丸の秘裂に舌を這わせ、そこを舐めた。 
ビクンッ!!と体をベッドから浮かせ、喘ぐ。 
ピチャピチャと舐める度に、液体が音を鳴らし、茶々丸の羞恥心を煽る。 
「ひぅぅッ!!くッ……あああぁぁッ!!だ……め……ぇッ……」 
必死に耐えようとする茶々丸だが、もう限界だった。 
声色からそれを感じ取ったエヴァは、その小さな舌を秘裂に一気に差し込んだ。 
「ッ!!あああぁぁッ!!」 
一番触覚の敏感なパーツに、舌のザラつきを感じ取った茶々丸は、快感が許容を超えて、今度は完璧に絶頂を迎えてしまった。 
「イッたか……」 
エヴァはベッドから下りると、パチンッと指を鳴らした。 
すると、茶々丸の動きは自由になった。 
まだ余韻があるのか、なかなか動き出さない茶々丸。 
エヴァはそんな彼女に話しかけた。 


「どうだった、茶々丸?」 
「あっ……はい……とても……良かっ……た……です」 
内部温が上昇したのか、赤面する茶々丸。 
そんな彼女に、エヴァは滔々と語り始める。 
「……実はな、茶々丸。今回の改良は……私が頼んだモノなんだよ」 
「えっ……?」 
主人の突然の言葉に、驚く茶々丸。 
しかし、エヴァは言葉を続ける。 
「私は……色んな意味でお前に『与えられ』てきた。だから、私も『与え』たかった。けれども、お前は完璧だ。『与え』ようにもどうしようも無い。だから、せめて『人間』を教えたかったんだよ。だまってて……すまなかったな、茶々丸」 
「マスター……」 
その言葉を聞き、ベッドから立ち上がる茶々丸。 
主人の告白に、茶々丸は答える。 
「マスター、私はあなたの従僕とはいえ、『あなただから』今まで仕えてきたんですよ」 



その言葉を聞き感きわまったのか、エヴァは茶々丸に抱き付いた。 
金髪の少女は背が低く、茶々丸の胸部くらいまでしか上背が無く、手は太腿あたりで回されていた。 
茶々丸は、脚部に水の流れるのを感じた。 
主人の背中に手を置く様にして、抱かれるのに応じる茶々丸。 
エヴァは、涙声で尋ねた。 
「これからも、私に……仕えてくれるか?」 
茶々丸は立て膝になり、エヴァと視線を合わす。 
「はい……マスター」 
二人は、どちらともなく口付けを交わす。 
長い長い口付け。 
「んっ……ぷぁっ……」 
口を放すと、二人の間に銀糸が見えた。 
「ありがとう……茶々丸」 
二人はさらに距離を縮めるのであった。 


「そうだ、茶々丸」 
「何か?」 
「体はどうするんだ?」 
赤面しながら、茶々丸は答える。 
「……このままでお願いします」 


fin 



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