伊賀 ◆hUuoHn2dM2 


(む…あれは…本屋殿?) 
麻帆良学園中等部2&3年A組20番長瀬楓は、前方から本を山積みに抱えて歩いてくる人影を見つけた。 
その人影はフラフラしており、今にも廊下の壁に衝突し兼ねない状態だった。 
(ここは手伝うべきか……いや、拙者が迂闊に近づいて本屋殿がケガでもしたら…) 
そんな事を考えている内に楓の前に本屋と言われる人物が歩いてきた。 
「わ……おっとっと…あ、あ…」 
なかなか体勢が安定しない。このままでは大ケガに繋がってしまう。 
(やはりここは拙者が…) 
意を決した楓は、その人物の横に回り込んで声を掛けた。 
「本屋殿」 
「ひっ!」 
楓が急に声を掛けた為体勢がわずかに崩れそうになる。 
「おっと…大丈夫でござるか?」 
「あ、長瀬さん……はい、大丈夫です…」 
楓は崩れ落ちそうになる本を、片手で器用に受け止める。 
麻帆良学園中等部2&3年A組27番宮崎のどか、ニックネームは「本屋」。故に普段から本名で呼ばれる事は少ない。 
「いつも大変でござるな。こんなに多くの書物を管理する図書委員とやらも」 
「確かに大変ですけど……本が好きですから」 
「良ければ拙者も手伝わせてもらえんか?今日は非番でござる故に」 
「ですが…」 
のどかは視線を逸らした。何かを言いたげな様子だった。 
「図書委員以外の方がお手伝いして頂いてる所を…他の委員の人に見られたら……誤解を招くかもしれませんので」 
「あいあい、大丈夫でござるよ。その時は拙者がちゃんと弁明するでござるから。本屋殿は心配性でござるな。それに…」 
楓はそう言うと、支えていた手を下ろした。その瞬間、支えていた本が楓の手に吸いつく様に落ちてきた。 
「あ…」 
のどかは驚きの声を上げた。 
「ニンニン♪」 
楓は嬉しそうに細い目を更に細めた。 

「あいあい…仕事でかく汗は気持ち良いでござるなー」 
のどかと共に図書館まで本を運送してきた楓は、傍にあった机に本を下ろして汗を拭く仕草を見せた。 
「ふふふ…」 
そんな楓を見て、のどかは小さく笑った。 
「本当に助かりました。長瀬さん…」 
「心配は無用でござるよ。今日は非番の日でござる故に」 
楓は図書館を見回した。利用している生徒は居らず、楓とのどかの2人きりだった。 
(平日はこんなにも閑散としておるのか……しかし凄まじい量の書物でござる…甲賀に居た時にこれだけの書物は見た事が無いでござるよ) 
本棚には整然と本が並べられていた。それ一つ一つが丁寧に扱われているのが見て分かる。 
楓は今、自分が運んできた本の中から一つを手に取った。表紙には『※日本の歴史の裏舞台』と書かれていた。 
「日本史…好きなんですか?」 
のどかは、運ばれてきた本の仕分けをしながら話しかけた。 
「まぁ、少しは得意でござる。しかし、拙者は勉学が苦手故に日本史で得点を稼がないと厳しいのでござるよ…」 
楓は苦笑した。ちなみに彼女は2年A組のバカ五人衆(レンジャー)の一人(バカブルー)を襲名している。 
「しかし、書物の仕分けも大変でござるな。普通に運んできたら、後は番号順に並べるだけだと…」 
「本を種類ごとに仕分けをして、更にその種類の中でも番号順に仕分けをして棚に収めるまでが図書委員の仕事です。その他にも、図書館の受付をしたり皆さんが希望する本の購入をしたり…結構大変なんです」 
「んーー…本屋殿は賢いでござるなぁ…ニンニン」 
のどかの説明を聞いて、楓は感心した。普段は無口で消極的な彼女だが、本を扱わせたら水を得た魚の如く積極的になる。そんなのどかを楓は知っている。 
「さて…これが終わったら仕分けした本を棚に入れて終了です……あの」 
「あいあい。勿論手伝うでござるよ」 
自分の意見を素直に言い出せないのどかの性格を楓は知っていた。だから、全て言えなくても何を言いたいか楓は理解しようとした。 
「…すみません」 
のどかは顔を赤らめた。下を向いて謝る。 
「ニンニン♪」 

「本屋殿。そんな高い所に登って大丈夫でござるか?良ければ拙者が…」 
「だ、大丈夫ですー…わ…」 
(大丈夫って…足元がおぼつかない状態で良く言えるでござる…) 
本の仕分けが済んで、次は本を棚に並べる作業に入った。脚立にはのどかが登って、楓は下で本の受け渡しをする事になった。 
「長瀬さん…次の本をお願いします」 
「あいあい。暫し待つでござるよ…」 
楓は横に積まれている本を掴もうとした。しかし、上手く掴めず積まれている本が崩れ落ちそうになった。 
(あいやしまった…) 
崩れそうになる本を支えようとして楓は脚立の脚を離してしまった。 
「わ、わ、わ…」 
途端に脚立に登っていたのどかの体勢が崩れる。彼女は何とかバランスを保とうとして必死に踏ん張った。 
(このままじゃ長瀬さんに…何とか踏ん張らないと…!) 
下では楓が崩れそうになっていた本の山を元に戻し終えた所だった。それを見てのどかは少し安心した。 
「本屋殿。次の本を…」 
楓が目的の本をのどかに渡そうとした時、運悪くその本が脚立の脚に当たってしまった。脚立は大きく揺らぎ、のどかの体も大きく揺らいだ。 
(南無三!) 
「キャーーーッ!!!」 
バランスを崩したのどかの体が宙に投げ出される。 
「本屋殿っ!!」 
楓は持っていた本をその場に置いてのどかの体を受け止める体勢を取った。のどかの体は丸まった状態で楓の方へ落ちてくる。 
(まずい!万が一拙者が受け止め損なって背中を打ったら…!) 
最悪の事態を考えて楓は片膝を床につけ、体全体を使ってのどかを受け止めようとした。体勢を整えている間にも、のどかの体の落下速度は速くなる。 

ドスッ!! 
「うっ!!!」 
たとえ体重の軽い女性であっても、高い所から落下すればかなりの衝撃が来る。 
「本屋殿!しっかりなされよ!」 
「うぅ…ん…………!」 
楓に揺すられてのどかは目を開けた。 
「長瀬さん…私……」 
「安心するでござるよ。本屋殿に傷一つ負わせぬよう拙者が盾となり申した」 
楓はのどかの体をそっと起こした。 
「あ……」 
のどかの前髪が乱れ、普段は滅多に見られない彼女の顔が現れた。 
(本屋殿…カワイイでござる) 
楓はその顔に見惚れてしまった。見れば見るほどのどかの顔に惚れ込んでしまう。 
(不思議でござる…本屋殿を抱いていると気持ちが安らぐような気が…) 
のどかに置いている手に自然と力が籠もる。 
「あの…長瀬さん……」 
「へっ!?」 
のどかに名前を言われて楓は我に戻った。 
「腕…力が入ってて……痛くて」 
「あっ!これは失礼!」 
慌てて腕を離す楓。 
「つい本屋殿のお顔に見惚れてしまって…申し訳ない」 
「え…そんな…………」 
顔の事を言われてのどかは俯いてしまった。のどかの顔は担任のネギでさえ認める可愛さである。しかし、彼女はそれに気付いていない。 
(長瀬さんに迷惑が………でも長瀬さんに抱きしめられていると…………それに) 
のどかは楓の胸元に目をやった。楓は普段、サラシで自分の胸を覆っていて、その形は見て取る事は難しい。しかし、本当はクラスで5本の指に入るほどの大きさを持っていた。のどかはそれを浴場で拝見した事があった。 
(あの胸……それに比べて私は…) 
のどかは自分の胸を見つめた。一般の中学生並みの発達具合だった。それをのどかは残念に思う。 


「……………」 
のどかは何も言わずに楓の胸に抱きついた。 
「本屋殿!何を!」 
予測していなかった事態に楓は慌てた。 
「すみません……少しだけ…………甘えさせて下さい」 
それだけ言うとのどかは目を閉じた。 
(温かい…長瀬さん……) 
この事態に楓はどう対処するか思案していた。このまま無理に引き剥がすのは彼女に悪い気がしたので他の案を考えてみたが、どこを通っても結論は一つしかなかった。 
(本屋殿と暫しの時を……) 
一呼吸間を置いて、楓はのどかの頭に手を置いた。 
「あ…」 
「何も案ずる事はないでござるよ……」 
のどかの頭に置いた手を楓は優しく撫でた。楓の指にのどかの髪が柔らかく絡みついた。 
「本屋殿の髪は柔らかいでござるな…拙者の髪とは大違いでござる」 
「そうなんですか?私はてっきり…」 
「柔らかい時もあれば剛毛の時もあるのでござる、ニンニン」 
楓は自分の髪をのどかに触らせた。 
「今日は…柔らかいですね」 
触っていた髪にのどかはそっとキスをする。楓は驚いて肩をびくつかせた。 
「な!髪に接吻されるとは…」 
「助けて頂いたお礼……ダメですか…?」 
「接吻は普通、唇同士で行なう行為ではござらんか?それを髪になさるなど…」 
「あの……キスって唇同士だとは限らないんです…例えば片方の人が相手の人の首筋とか鎖骨に……キスする事もあります」 
のどかは恥ずかしそうにキスの意味を説明した。キスは唇同士以外ではしない物だと楓は教えられてきた。なので、口以外にキスをする等想像もつかなかったようである。 
(むむむ、接吻は色々な部分に出来るのでござるか…これは記憶に留めておかねば) 
楓は目を閉じてのどかがしてくれた説明を脳内で繰り返した。それをのどかは不思議そうに見ている。 
「…よし。覚えたでござる」 

楓はのどかの方を向き直ると、彼女の肩を抱き寄せて首筋にキスをした。 
「ひゃっ!な、長瀬さん!?」 
のどかは驚いて楓の方を向いた。 
「じょ、冗談は止めて下さい!」 
「冗談でこの様な行為はしないでござるよ」 
のどかの耳元でそう呟くと楓は舌を首筋に這わせ始めた。 
「んっ!んん……」 
粘っこい感触がのどかを襲った。自然と体の中が熱くなる。 
(私……感じてるの?長瀬さんは女性なのに……) 
のどかは大の読書家で、ありとあらゆる本を読破してきた強者である。性についてもある程度の知識は読書で培っていた。無論、キスについても本の中で覚えた知識の一つである。そんな知識も、現実に経験が無ければ意味が無い。 
のどかの首筋を滑る様に楓の舌は動いていた。そして、耳の裏に辿り着いた。やはりここも、普段から髪で隠している為か、少しの刺激にも敏感に反応した。耳朶にも歯を立てつつ裏側にも刺激を与えた。 
「んん!止めて……下さい…」 
「大丈夫でござる。今、図書館に居るのは拙者と本屋殿の2人だけ……何も案ずる事無いでござるよ」 
長身の楓は腕も長かった。その腕にのどかは抱き止められ、すっぽりと覆われていた。少しの抵抗ではそう易々と動じない。 
(私…どうなるの……ネギ先生…) 
のどかは心の中で担任の事を思った。こんな時、担任は何をしてくれるのだろうか、と。 
楓は出来るだけのどかを脅えさせない様、柔らかく愛撫を加えた。首筋に愛撫するだけでも相当な時間を掛けている。 
(本屋殿の抵抗が弱まってきたでござるな…拙者もそろそろ…) 
楓はのどかの体を腕の中から解放した。そして、自分のブレザーのボタンに手を掛けて脱ぎ始めた。 


「!!!!!」 
楓の予測不能な行動にのどかは声を失った。愛撫の次に服を脱ぐなど本番に備えての準備にしか見えなかった。 
「な、長瀬さん!?何をしてるんですか!こんな所を誰かに見られたら…」 
「だから大丈夫でござるって。こんな時間に図書館を利用する輩など皆無に等しい 
でござる。それに、今日は休館日ではござらんのか?」 
(休館日…そう言えば…) 
今日は図書館の休館日で仕事が無くて嬉しい、と同じ図書委員の仲間から言われて 
いた事をのどかは思い出した。しかし、運悪く休みにも関わらず、本の仕分けの担 
当にのどかは名前を連ねていたのであった。そんな事を思っている間に、楓はYシ 
ャツを脱ぎ捨てて胸の所にサラシを巻いている状態になっていた。 
「キャッ!」 
あまりに大胆な脱ぎっぷりにのどかは目を覆ってしまう。しかし、やはり気になる 
のは成長している楓の胸であった。覆っている指の隙間から、そっと楓の胸を覗き見る。 
(大きい……サラシで巻いているのに…) 
サラシで巻かれている為、胸の形ははっきりと見る事は出来ない。しかし、サラシ 
を外したら零れ落ちそうな胸が露わになるのは見て取れた。 
「また成長したかもしれないでござる…なるべく刺激を与えないようにしておるの 
に全く…女性ホルモンとやらは困った代物でござるよ」 
(胸の話を平気でしてる…恥ずかしくないのかな?) 
のどかの視線は楓の豊満な胸に釘付けだった。 
「…凄いですね」 
「んー本屋殿から見れば凄いかと思われるでござるが、拙者から見れば育ち過ぎで 
ござるよ。これでは修行の邪魔になるだけ…」 
楓は苦笑した。そんな楓を見てのどかは、 
(長瀬さんって常に自然体なんだ。羨ましいな…私もあれ位自然になれたら…) 
何も臆する事無く、自分を素直に表現出来る楓にのどかは半ば尊敬の眼差しを送っていた。 
(先程から本屋殿は拙者の胸を凝視しておられるが…触ってみたいのであろうか?) 
「本屋殿…良ければ触ってみるでござるか?」 



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