
294
不思議な、感情…
何故、こんな、キモチになる…
最初は何とも思わなかった。私が縛られた学園。そこに奴はやってきた。
臨時教師。ふざけた話だ。ガキが教師になるなど有り得ない。
私のように、無駄に年月を重ねたというならまだしも、だ。
だから、試した。本当にナギの息子か、実力を知りたかった。
そして、ま、ま…負け…た。いや、違う!手加減してやったんだ!それに
奴の力を誘い出して確認するためには『わざと』負けてみなくてはならんのだ!
ハァ…ハァ…そんなことどうでもいいんだ。と、とにかく!
あの一件は私が奴に一目置くには十分な出来事だった。ただ、それだけだ。なのに…
何故だろう…日を重ねるごとに奴の存在が私の中を埋めていく。
ナギの息子だから?それもある、が。
そんな事が下らないことであるかのように思い始める私がいる。
奴を…ネギ・スプリングフィールドを意識する…
そういえば、奴と神楽坂明日菜を見ていると私にどこか似ている。
あいつらはある意味姉弟、神楽坂明日菜はネギを守ってやりたいらしい。
私も、そうなのか?いや、どちらかと言えば…
育てたい?馬鹿な!いくら100を過ぎていようが私はアレの母親などではないぞ!
…では何故、私は奴を弟子にした?申し出られた時は、頭が惚けて胸が
苦しかったな…って、なんて反応してたんだ私は!?それじゃまるで
あの坊やに恋してしまったみたいじゃないか?あ、あ、あれは花粉症だ!
そう、花粉症でボーッとしてたから…
もういい…わかっている。私は奴にナギを重ねているんだ。私が惚れて
恋い焦がれた唯一のオトコ。その息子をナギの代わりにしようとしてしまって
いる…愚かしいが、正しいのだろう。
…ナギ…ナギ…
生きて、いるのか…?生きているなら何故きてくれない…?
私はずっと待ってるのに…呪いを解いて…違う。そんなことじゃなくて。
私はお前に抱き締めて欲しい。抱き締めて、優しく撫でて、愛して…
私のモノになって、貴様のモノにして…
……濡れてる…私の目も、心も、それに…
くちゅ
少し、触れてみた。ナギを想って濡れたのか…
くちゅくちゅ…くちゅ
っ、はぁ…ッッ!
どうしよう…経験ない訳じゃないのに…喰らった男など数限りないのに…
ナギを想うだけで私の細い指がまるでナギの舌のように感じる…よ
く…ちゅっ…ちゃくっ
ハァ、ハァ、止まらな…い…っ!
我慢…できない
ナギ…ナギ…ナギ…ナギ…
くちゅ…くちゅくちゅくちゅくちゅ
あ、あ、ああ、あっうくっああっナギっナギッ
嫌、いや、優しく…強く…して、よ…
あんっ…は、ぁっ…だ、駄目…ッ
イクのっ!イク…から、ナギあっナギィィィ………ッ
っっっっっ…くっ…ふぁぁ………
…イッた…。
まさか手淫で狂うなど…ハァ…ハァ…
ナギ…ねえ、貴様は、貴方はどこにいるの?
何時になったら迎えに来てくれるの?
貴方が来てくれたら、私は貴方に何もかも捧げるの。もう悪いことしてない…から。
貴方のネギを私が育てるから…愛するから…
貴方は私だけを愛して…待ってるよ、ナギ…
ガッドガッバシィィィッ
「むぎゃんっ!?」
リク・ラク・ラ・ラック…
バリバリバシィッ
「ぎゃわんっ??」
「おい坊や!いつまでそんな体たらくでくたばってるつもりだ?
そんなことで強くなれるか!ほら、立て。さあ続けるぞっ!!」
弥生三月、別れの季節。
麻帆良学園にもその日は訪れた。
仲良しクラス29名は、それぞれ自らが見出だした進路へと進む。
ただひとり、宿命に縛られた女、ハイデイライトウォーカーを除いては…
「ふん…」
毎年の事。成長し巣立つ若き娘を見送る儀式。私には関係ない儀式。
もう何度味わっただろうか。疎外感、違和感、そして…
今年は特別、胸が苦しい。
今まで考えられないほどクラスの連中と打ち解けた。私の秘密を知りながら
慕ってくれた奴等…神楽坂明日菜を筆頭にする、非常識の世界へ足を踏み入れた
連中。そして、我が最愛の弟子。
「心底つまらないという顔をされていますよ、マスター?」
う、うるさい!お前も来年は高等部だろ。何なら私から離れても
「私はマスターと共に」
…言い終わらぬ内に言葉を被せおって…まあいい。
「私はじじいの処へ行く。来年の手続きだ。お前は奴等の処へ行け。」
「マスターはいかがなさるのですか?」
わたし?私は…「私もあとで顔を出す」あれ?な、何を言っているんだ私は!?
くっ…真祖の吸血鬼、悪の魔法使いの私が…
………
私は変わった、のか…?自らの欲を満たすだけの人生を歩む私が
誰かの為に動いていた…
自分の事しか考えなかった私が
弟子などとって可愛がる…
昔の私を知る奴が今の私を見たらどんな顔をするだろう?
驚愕か、侮蔑か?恐怖?それとも…
ねえ、貴方ならどんな顔をしてくれる?なんて言ってくれる?
…想像できるあたりが腹立たしい。
…寝付けぬ…
何?何だろう?何かが、違う。
この時期、少しばかり空しさが勝りはするが、こんなに心が騒ぐことはなかった。
「少し風に当たるか。今日は月も美しいようだからな。」
麻帆良にかかる大きな橋。ここが、今の私の始まりの場所。
ここであの憎たらしい、そして可愛い坊やと戦りあってから私はおかしくなった。
「まだ、肌寒いな…」
桜が咲くにはまだ早い、そんな時期。少々着るものが薄かった。
…体も、心も、寒い…よ。
自然と涙が目に浮かぶ。視界がぼやけて、みえなくなって、何故か、目の前に
誰かがいて…
「悪いな、ちょっと遅れちまった。」
懐かしい声がする。涙で耳がおかしく…なるか!
両目をこする。うっすら赤くなった私の目は、そこに、懐かしく腹立たしく、
あまりにも愛しい…
「…ナ、ギ?」
「はは、卒業前に来てやるつもりだったんだが。ちっとばかし遅かったな」
「あ、あ…」
「お?そんなに嬉し」
「アホかーッッ!!」バシッ!
突っ込みを受け止めるなこの馬鹿が!
「き、貴、貴様はよくもいけしゃあしゃあと!今が何時だか分かってるのか?
10年をとうに過ぎた!何をしていたんだ貴様は!?」
「いやあ、悪い悪い。なんとなくな」
こ…殺す…!!肉片も残さず…っ!!
「どうだ?光に生きた感想は?」
くっ…
「…ふんっ、退屈でつまらん日々だったよ!」昨年までは。その呟きを奴が
聞き逃すはずもなく。
「ネギか?どうだ、あいつは?俺の子だぜ?」
「わかっているわ!…私の人生で、あれ程の力を見たのは貴様以来だよ。」
「素質はな。能力を引き出してくれたのはお前だよ。感謝するぜ。」
「礼などいらん。私は…私は自分が楽しいからやってただけだ。」
「そうか、光の中に何かを見出だす事ができたか。よかったじゃねーか
エヴァンジェリン。もう、安心だぜ。」
「…なあ、ひとつ聞かせてくれ。私は成長したか?」
「は?何を薮から棒に?成長?」
「ああ。あれから十余年。ここでの生活で私は成長できたつもりだ。
あの時とは違うんだ、とな。」
「ああ…見た目は変わらんが?そうだな…オトナになったよ。多分な。」
「だったら…だったら、あの…」
「?」
聞きたい…聞くのが、怖い…辛い…でも…!
「お前、私のモノになれ!」
「はい?」訝しがる。当たり前だ。もう少し言葉を選べよ私。
「だ、だから!私はあの日、お前に…」
「好き、か?」うっ…
「そ、そう…だ……」声が消え入りそうになる。
「俺は少女趣味はないぜ。」
「………」うぁ…
「だから、今のお前なら愛せる。」う、う、それ以上言わないで…は?
「え…?」
「だから、人として、女として内面が大人になった今のお前なら
俺は愛せるっつってんだ。」
「う、嘘じゃ…ない…の?」
「だが、お前のモノになる気なんてさらさらないね。まっぴら御免だよ。」
「あ、うぁ…」酷い…何もそんなに嫌わなくても
「お前が、俺の、モノになるんだ。」嫌わなくてもいいじゃ…は?
「わ、私が…?」
「俺のモノになる。どうだ?」
どうだ?と問われて、私がなびく。おい、なんだ『なびく』って?
普通はなびくと思うな、とか…駄目だ。もう、考えられないよ。だって、
ナギがいる。ここにいる。ここにいて、私を…
「愛して…ナギ…」涙が止まらない。私ってこんなキャラだったっけ?
「お前の呪いも解かなきゃならん。ここは寒いからどこか暖かい処へ行くか。」
ナギは私を抱き上げ、月明り美しい夜空へ舞い上がった。
住み慣れたログハウス。私の家。茶々丸がいるから静かに…と彼を招き入れ、
あの別荘へ招待する。彼氏を部屋へあげる女のガキはみんなこういう気分なのか。
「ここは…魔力が充溢しているな。あんたけ制限された力でよくこんなもんが
造れたな。さすがに真祖だ。」
「うん…まあ、このくらいは…」
「さーて、どうする?呪いも解かなきゃならんが…俺はその前にお前を抱きたい。」
「うん…抱いて。いっぱい抱いて。」呪いが解けたら、絆までなくなりそうだから。
「ああ。じゃあ、ベッドへ行こうぜ。」
「先に汚れを落とそうとか思わんのか貴様は。さんざん長旅してきました
みたいな姿をしおって。」
「それもそうだな。じゃ、入ろうぜ、シャワー。」…誘ってるの?
「…うん」
暫く使ってないシャワールーム。広めにしてある部屋の中で、私とナギは
互いの存在を確かめ合う。私の体にナギの、ナギの体に私の感触。
暖かく、固いナギの体…シャワーを浴びながら、私と彼は口を寄せ合う。
背の低い私を彼は抱き上げ、最初はかすかに、啄むように、そして
唇を重ね合わす。彼の舌が私の口内を侵食する。彼の唾液が移される。
飲み干して、私も移す。彼も飲み干す。舌が絡み合うたびに、溶けそうになる。
いっそ溶けてしまいたい。
シャワールームではそれ以上のことはしない。ナギの下半身はもう屹立している。
私のあそこはとっくに…実は、ナギが私を彼のモノに、と宣言したときから…
ぐしょぐしょに濡れていた。下着もベトベト。脱いだとききっと見られた。
でもいい。今から、一番濡れてるとこを見せるから。
「なあ、エヴァンジェリン」不意に、呼ばれて振り向く。
「俺、久々だから加減できないかもよ?」
「そんなこと…気にしないでいい。貴様の好きにすればいいんだ。私は貴様のモノだ」
微笑って、自分でもこんな顔ができたのか、と唖然としながら微笑って答える。
同時に私は押し倒される。
「あ、ちょっ…そんな、いきなり」
「もう遅い」
それだけ言って、私の薄い胸を舐める、そして、優しく吸う。
あ、あ、はぅ…っ…
だ、駄目…感じ過ぎる!どうなってるのかわからないけど…おかしくなってる…!
ちゅ、ちゅ
彼は胸を愛撫すると、その口を少しずつ下へずらしていく。
胸は両手でいじりながら、口は胸からわき腹を、おなかを、臍のまわりを、
軽くタッチするように口付けしていく。その口が下腹部、恥丘に至り、脚のつけ根、
腿、そして、一番敏感な部分に辿り着く。
「う、ふぁ…ん…」
声が出る。我慢できないよ。ナギ、もっと…
「気持ちいいか、エヴァンジェリン?」
時折私の表情をみながら。
「ナギ…私、もう駄目。お願い…」
「ん?何のお願いだ?言わなきゃ分からんぜ?」意地悪…分かってるくせに…
「あ、わ、私…の、その…」恥ずかしい。何故?おぼこでもあるまいに。
「その?なんだ?言わなきゃわからんからここで止めなきゃならないなあ…フフッ」
「馬鹿!ああっ、もう…だ、だから…私の…私の膣内にナギを入れて!お願い…っ!」
クスリと笑うナギ。「ああ」一言。そして、もう水溜まりをつくるんじゃないかと
いうくらい濡れた私の膣へ、彼の固い肉棒が侵入してくる。
「う、あ、ああ…っ!!」
大きな彼は、狭い私をめいっぱいに拡げて、奥へ奥へと突き進む。
気持ちいいよ、痛いよ、でも気持ちいい…よ、ああっ…!!
奥に届いたナギ。彼の先と私の子宮口がキスを繰り返す。
突き上げられる快感に、自我が、記憶が飛び跳ねる。
グチュ、グチュ、グチュ、グチュ…
嫌らしい音が響く、二人しかいない部屋。
グチュ、グチュ、グチュグチュ、グチュグチュ…
次第に早く力強く動くナギ。私も腰を動かし、一層の快楽を求める。
「うっ、く…はぁぁん…」
「ふっ…ふっ…う、んっ…」
上の口でキスを貪り、下の口でナギを貪る。肉体的精神的に高まっていた私はもはや
限界に達している。
「あっ、あっ、ナギっ、あっ、駄目、わたしだめ、イッちゃうよイッちゃうのおっ!」
「エヴァ、俺もイク!出ちまう!くっ!」
「だして!なかにだして!なか…に、ぃっ!?はっあっああっ?ああああぁぁっ…」
「くっ、ふうっ、くぁっっっ」ビクッ、ビクビクッ…
ドクッ!ビュクッ!ビュクッ!ビュッ!ビュッ…!
大量に吐き出されたナギの精液。その全ては小さな膣内に納まらず、
結合部から溢れ出、滲み出る。私とナギの愛の証。膣を、子宮を満たす温もり…
私はナギと一つになった…何度も夢見た、追い求めた結末…そして始まり…
「…なあ、エヴァンジェリン」夢うつつの私を呼ぶ。
「何だ?」
「今更で悪いが、俺には子供がいるんだが…」
「それがどうかしたのか?」
「いや、だから…娘はもうモノの分かる年だから、心配はしていない。だが、
ネギは…母親を知らないとはいえ、俺が母親でもないお前を、それもネギの生徒だった
お前を抱いて、モノにしたと知ったらどうすんだろうな…」
「心配いらんさ。」
「?」
「母親(マスター)の言葉は絶対だから。」
「はっ…!そりゃいいや。心配ごとがなくなったよエヴァンジェリン!」
そうして、この別荘に日が昇る明日まで、私とナギの粘膜の語らいは続く…
翌日。
じじいに突き付けた入学届を引き裂いて、進学証明を急遽用意させた。
私の事情を知っていた3―Aのガキ共は私の進学を自分のことのように
喜んでくれた。特に、神楽坂明日菜…お前の恋い焦がれる坊やの父親の
物になった私を、涙を浮かべながら祝福してくれるとは…
下手したら貴様の義母だ私は。よろしくな!かなり皮肉をこめて吐き捨ててみた。
このあと、魔法学校からの辞令で高校でも私たちの担任となることになった
坊やに、進学の件や父親の件を赤裸々に語り大騒ぎさせてしまうのだが、
それは、また、別のお話。